カレッジマネジメント234号
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5353845多様な入試方式で多様な受験生に対応する高校までの学力・勉強習慣・志望意欲を問う推薦入試入学者選抜方針(アドミッション・ポリシー)自らの問いに根差した問題解決能力の有無を問うAC入試65※この入試の合格者にふさわしい志願者がいないと判断した場合は,募集人員通りに合格者を決定することはせずに,個別学力検査等の募集人員によって,その人員を充足します。ただし,個別学力検査等で充足する欠員の数は,個別学力検査等より前に実施される他の入試の入学手続者数も含めて決定されます。AC入試全般人文学類人文・文化学群比較文化学類日本語・日本文化学類日本語や日本文化、多文化共生社会のあり方について独自の視点を持ち、自ら問題を見出し、解決する能力を重視して選抜します。生命環境学群生物学類情報科学類情報メディア創成学類コンテンツやネットワークメディアを支える情報メディアの科学と技術において、研究課題を自ら設定する創造性と意欲、課題を緻密に知識情報・図書館学類社会における情報の伝達や知識の創造に関して幅広く興味を持ち、関連した課題を自ら発見し、分析・解決していく能力を評価します。課題の分析結果を論理的に説明することや、説得力のある提案ができることも評価します。A(問題解決型):ひとつの運動種目における優れた技能を重視し、自主的な実践活動における科学的知識の活用と論理的思考能力を多面的に評価します。B(競技力型):抜群の運動技能を有し、日本代表として権威ある国際大会で活躍できる競技力を重点的に評価します。また、基礎学力と表現力についても総合的に評価します。情報学群体育専門学群筑波大学(以下、筑波)の入試は、主に年内実施の推薦入試・総合型選抜・グローバル選抜と、年明けの一般選抜という4種類に大別される。「本学の入試は、自分に合う入試を選びやすいように設計されています」とアドミッションセンターの大谷 奨教授は言う。募集要項には「各学群・学類のアドミッション・ポリシー」として、「求める人材」「入学までに学んでおいてほしいこと」が整理され、加えて入試方式ごとに求める学生像も明快に示されている。入試方式×各学群・学類で求めるものの掛け算で、全体の人材ポートフォリオがマネジメントされているとも言えるだろう。本稿ではその中で、推薦入試と総合型選抜の1つであるアドミッションセンター入試(AC入試)をご紹介したい。まず、推薦入試である。「推薦では高校でしっかり勉強した人を選抜したい」との言葉通り、どの学類でも概ね「調査書の学修成績概評A段階」のほか、論理的思考力や分野への関心を求める。求める要件に照らし、学力考査に大学入学共通テストは使われず(心理学類を除く)、調査書と、思考力を問うための小論文が課される。「推薦合格者は高図AC入試の入学者選抜方針志願者の主体的で継続的な取り組み(最近2年間、またはそれ以上の長期にわたるもの)から「問題解決能力」を評価します。(以下の各学類・専門学群のアドミッション・ポリシーと併せて評価します。)人文系の学問に関わる専門的知識を主体的に吸収し、自己の判断力を磨いていく能力と創造的な問題解決能力を有する人材を選抜します。文化・社会に強い関心と知識を持ち、特定の専門分野について具体的で個性的なテーマを設定し、そのアプローチと内容に関して独自の研究成果を挙げている者を選抜します。生物界や生き物の仕組みに対する強い興味を持ち、自ら設定したテーマに関してユニークな研究をし、その結果を分析して、独善的な考えに陥ることなく、科学的及び論理的にレポートにまとめ、それを具体的に発表する能力を評価します。情報科学や情報技術、または関連する分野に強い関心を持ち、自ら研究課題と明確な目標を設定して問題の分析や解決を創造的に図る意欲と能力を有し、その過程と結果を論理的に説明することのできる人材を選抜します。分析し、創造的に解決する問題解決能力、その過程及び結論を論理的に説明できる能力を総合的に評価します。校までに勉強習慣がついているためか、追跡調査でも初年次パフォーマンスが良い傾向があります」と大谷氏は言う。また、筑波で推薦は「一般選抜でも十分合格できる学力のある生徒を先行して獲得する」という目的も担っている。「一般対策と同様にきちんと勉強することで、推薦で課す小論文もスコープに入るように注意しています。難易度で見ると、推薦入試のほうが簡単というわけでもない。同じ競技で、早い段階のスコアを測定するのが推薦という趣旨です」と大谷氏は話す。次にAC入試である。本入試で求める学生について、募集要項には「問題解決能力を身につけた活動的な人」とある。そのため、「これまでに自ら課題を見つけ、学び、考え、主体的に判断して取り組んできたことを自己推薦書で提示する」ことが求められる(図)。こうした要件に照らし、入学後もAC入試合格者は「自ら問いを立てて学ぶ」ことに長けており、研究分野でも意欲的にチャレンジする例が多いという。こうした多様な入試設計が「多面的に実力を伸ばしてきた」受験生には魅力的に映るであろうことは想像に難(文/鹿島 梓)くない。 アドミッションセンター教授大谷 奨 氏募集人員12早期化・長期化する受験活動特集02各入試の求める人材像×各専門のAPのバリエーションで自分だけの入試を選び取る筑波大学

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