カレッジマネジメント234号
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社会ニーズと学生の声を背景にスモールスタートから改革を進める文系を含めた全学生が体系的にDSを学べる状態を目指して図2 創価大学DS教育関連年表(主要なもの)75ハイフレックス用の機材を設置する等コロナ禍で一気に加速し、現状はDX対応WGが立ち上がり、「アフターコロナの授業形態」について検討が進んでいるという。創価がDS教育を全学的に推進する理由の1つに、産業界のニーズの表れでもある卒業生アンケートの存在がある。「本学は学生中心の大学を標榜しています。社会ニーズと学生の声を教育改革の起点に置くのは、本学では当たり前の動きです」(浅井氏)。「学生時代に何を学んでおくべきか」というテーマについて、2000年頃の調査では英語が圧倒的で、英語:統計は10:1という比率であった。2010年代の創価はこうした声も背景に策定された当時のグランドデザインをもとに、キャンパスの徹底したグローバル化・英語教育に力を入れ、SGU(スーパーグローバル大学創成支援事業)に採択される等成果を上げた。それが2021年春実施の調査では、英語:DSが10:11と、DSニーズが逆転したのである。「社会に出た卒業生からすると、データを読み解く力が必要なのは目に見えている。しかし、本学は文系学部が多く、数学が苦手な学生も多い。ニーズを背景に強制を伴えば意欲は削がれ、また担当する教職員の負荷も高くなってしまうのが悩みどころでした」と浅井氏は当時を振り返る。そこで方策として選択したのは、「まずはスモールスタートで検証し、学部カリキュラム改年度2007経済学部と経営学部で統計科目を必修化2010学部横断型オナーズ・プログラム(Global Citizenship Program)を設置2014国際教養学部設置2014経済学部で「データ・サイエンス」を開講2019副専攻「データサイエンス」を開始2020数理・DS教育強化拠点コンソーシアム連携校に加入2021全学共通科目「データサイエンス入門」を開講2021文科省MDASHリテラシーレベル初回採択2022共通科目「データサイエンス入門」全学1年次必修化2022学部横断型オナーズ・プログラム(Global Citizenship Program)でPython言語を必修化施策・卒業生アンケートをもとに統計の必要性を認識・パイロット授業として実用重視の内容で設計したところ高評価となり、必修化全学で30名選抜。統計とORの基礎を必修化StatisticsとProgrammingは必修化。英語・データ分析・問題解決型のグループワークを重視他学部履修生が多く集まる結果に・学生たちのプログラミングへの関心、体系的な学びへのニーズから検討開始 ・必修科目が応用基礎レベル・日本語・英語両言語・70名受講・副専攻の一部の授業を整理してリテラシー科目を設置・副専攻必修科目「データ・サイエンス」は、「データサイエンス入門」の履修を前提とした科目へと授業内容変更経営学部・理工学部のPython言語の授業を履修する他学部生が急増したことによる対応リクルート カレッジマネジメント234 │Oct. - Dec. 2022定の流れに乗せること」であった。統計学を学ぶスキームが従前よりあった経済学部を中心にパイロット授業を設計し、その手ごたえを次の学部教育設計に生かす、といった形で、ついに全学必修化にまで漕ぎつけたのだ。次に、時系列で見たDS教育の動きを図2に見ておきたい。近年の動きでは、2019年の副専攻「データサイエンス」開始が2021年のMDASHリテラシーレベル採択につながり、2021年開始の「データサイエンス入門」が2022年度生からの共通科目「データサイエンス入門」全学1年次必修化につながる等、毎年の動きが連関して改革が進んでいる。2020年には数理・DS教育強化拠点コンソーシアム連携校に加入したことによりDS関連の情報網が拡大し、検討のスコープが広がった。統計学が盛んなアメリカの動きにも注目しているという。データサイエンス副専攻の設置目的は、「どの学部の学生でもDSを体系立てて学べるようにすること」である。創価には従前より、「幅広い学び」を保証するために、所属学部以外の分野からも体系的に専門領域を学習できるように整理された副専攻制度があり、今回それにデータサイエンスが加わった形だ。副専攻は、①24単位以上修得 ②卒業時に通算GPAが2.70以上 という要件を満たす内容・経緯・推移等

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