モデルカリキュラムの各レイヤーで体系化を推進するステップ3ステップ2理工学部情報システム工学科生を対象としたデータサイエンス教育データサイエンス副専攻「応用基礎科目」+「基礎統計学科目」データサイエンスの基礎になる科目群8〜10単位76リクルート カレッジマネジメント234 │Oct. - Dec. 2022と、主専攻とは別に副専攻修了の認定がなされる。2021年に開始した「データサイエンス入門」では反転授業を導入し、事前の学習を踏まえたオンデマンド授業に週1回TAとの対面セッションを入れることで接点不足を補う。授業自体も創価が従前より全学的に取り組む少人数アクティブラーニング(AL)と絡めながら、学生の自主的な授業参加を促す工夫を凝らす。背景にあるのは創価の過半数を占める文系学部に対してDS教育を展開する難しさだ。浅井氏は言う。「オンデマンド授業は継続率がとても低くなるので、そのケアが必要です。かつ、文系の学生にとってDSは構えてしまいがち。入門授業では特にそうした苦手意識に配慮し、議論やワーク等、他者と協働し、双方向のコミュニケーションを増やすように心がけました」。グランドデザインでDS教育において掲げた3点のうち、①DS入門科目の全学必修化と、②副専攻「データサイエンス」の拡充を達成し、②に伴って副専攻の必修科目を応用基礎レベルと置くことで、今年のMDASH応用基礎レベルにも申請し、採択された(2022年8月24日公表)。次に見据えるのは③DSに関する「ダブルメジャー制度」等の検討である。これは即ちエキスパートレベルへの準備だ。「文系学部の学生でもダブルメジャーをとることで、情報系の大学院研究科に進学できるようにしたい」と浅井氏はその狙いを語る。学士課程では全学的に必要なDS力を培い、さらに意欲を持った学生に対応できるよう、応用基礎、エステップ1ステップ0AIを活用して課題解決自らの専門における課題解決データサイエンス応用基礎教育全学リテラシー教育全学必修科目「データサイエンス入門」(2021年試験開講、2022年度生から1年次必修化)キスパートとレイヤーごとの体系知を整備する。創価が実現を目指すのは、段階的に無理なく、しかしながら自らの意欲にそって学生一人ひとりがDS教育を選べる状態だ(図3)。浅井氏は言う。「本学の前グランドデザインで設置された学士課程教育機構は、こうした全学的教育整備の機関部であり、データサイエンス教育推進センターもその管轄にあるため、同じ思想で動いています」。推進力となる組織を適切に配置したことも一因となり、2010年代にグローバル化を一気に進めた創価。次がDS教育というわけだ。さらにこうしたDS教育推進は、高大接続にも有効に働いているという。姉妹校の希望者対象に、今秋からDS入門を開講予定で、創価に進学すれば単位認定される仕組みを整えている。ほかに今後の方向性として浅井氏が挙げたのが「産学連携科目の拡充」である。2021年から日本IBM社との連携科目を開始しており、「今後はご協力頂ける連携企業をさらに増やし、企業側のニーズや問題意識、本学で求めたい教育的価値を協議しながら、実データ等も用いてより社会に近い授業で学生の意欲を引き出したい」と意気込む。「数理・DS・AIは、日常生活の問題や社会課題を解決する有用なツールになり得るのだということ、そして自らの専門性にDSを掛け合わせることで価値創出が可能なのだという点を、社会連携を通じて学生に実感してもらいたい」。取材を通じて、創価がこれまで全学的に推進してきたALと、今回注力するDS教育の親和性の高さこそが、全学推進の鍵であり、創価の独自性であるように思われた。(文/鹿島 梓)図3 創価が整備する段階的なDS教育
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