カレッジマネジメント234号
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#5京都大学(以下、京大)が2016年度に導入した特色入試は、当時高大接続改革議論のさなかにあった高等教育機関やメディアを中心に大きな注目を集めた。導入から8年目を迎えた現在の状況をリポートしたい。まず、そもそも特色入試がどんな入試で、なぜ導入されたのかを振り返っておきたい。特色入試の目的は主に2つある。高大接続・高大連携の推進と、入試改革をばねとした高校・大学双方の教育改革だ。その実は、入試教科の高い学力だけでなく、幅広い学習に裏づけられた総合的な能力・意欲・適性・志を多面的に評価する入学者選抜を目指したものである。導入当初の「意欲買います。京都大学」というキャッチコピーが記憶※求める人材像、募集人員、出願資格、選抜方法、提出書類は学部学科により異なるhttps://www.kyoto-u.ac.jp/ja/admissions/tokusyoku大学入学共通テスト:基礎学力の担保高等学校での学修における行動と成果の判定個々の学部学科におけるカリキュラムや教育コースヘの適合力の判定高校在学中の顕著な活動歴調査書・学業活動報告書・推薦書学びの設計書・学びの報告書等能力測定考査口頭試問・面接84リクルート カレッジマネジメント234 │ Oct. - Dec. 20222023年度特色入試チラシにある読者もいらっしゃるだろうが、そのコンセプトは導入から8年経った現在も変わっていない(チラシ参照)。特色入試の概要をまとめると図1のようになる。具体的な「求める人材像」及びそうした人材を選抜する方法は学部学科によって異なるが、概ね基礎学力を大学入学共通テストで測定したうえで、「高校までの学修における行動と成果」を主に提出書類により評価し、「学部学科のカリキュラム等への適合力」を能力測定考査や口頭試問・面接等で判定するという3つの観点で選抜が構成されている。京大は建学以来の「自由の学風」と学術の伝統を守りながら、「対話を根幹とした自学自習」という教育理念を担う人材をアドミッション・ポリシー(AP)の形で規定している(図2)。特色入試で実践されている評価・選抜は、京大全体のAPの内容にも符合する。こうした評価要素は概ね2次選考まで盛り込んで選抜設図1 特色入試の概要(イメージ図)入試による高大接続と教育改革の推進改めて"高大接続"を問う事例report 京都大学 特色入試入試は社会へのメッセージ

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