カレッジマネジメント234号
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①高等学校の教育課程の教科・科目の修得により培われる分析力と俯廠力②高等学校の教育課程の教科・科目で修得した内容を活用する力③外国語運用能力を含むコミュニケーションに関する力85計を行っている。募集人員や選抜方法、試験実施方式を総合型にするか学校推薦型にするかは学部学科によって異なる。詳細は大学HPに掲載の募集要項をご確認頂きたい。入試方式は多様だが、大学として掲げる「総合的な能力・意欲・適性・志を多面的に評価する目的で設置された入試」を特色入試と銘打って実施しているのである。2016年度は14学科が参加してのスタートであったが、2019年度以降は全学部の22学科と、導入する学科も増え、募集人員も2016年度108名から2021年度は165名、さらに今年度、2023年度は172名と拡大しており、スモールスタートで始めつつも追跡調査や実施結果分析等により、その在りようは細かくチューニングされ、全学的に定着しているそうである。では、導入から8年経過し、どのような成果があったのか。まず、定量的な推移を図3に示した。年によってバラつきはあるが、特色入試の志願者は800~1000名程度、志願倍率は6.0倍前後で推移している。もともと数より質を求める入試なので、単なる数ではなく、求める人物像に合う志願者をいかに集めるかというのが募集広報の目的である。また丁寧な選抜を実施するために出願段階で一定のハードルを設けている点も関係がありそうだ。では、定性的に見て入学者にはどのような特性があるのかというと、一般選抜と比較した際、学部全体の成績分布年度募集人員志願者数倍率20161086165.720171458615.920181559195.9201915710496.7リクルート カレッジマネジメント234 │ Oct. - Dec. 2022の中でも特色入試入学者はGPAが高く、授業や課外活動等においても意欲的な姿勢であることが確認されているという。また、普段京大への進学が多くない公立高校からの合格者が相対的に多い、女性比率が一般選抜よりも高いといった特徴も見られ、入学者の多様化にも一役買っているという。また、特色入試担当教員等からは特色入試入学者について、「授業中の質疑応答が積極的であり、かつ、質問内容のレベルも高い」「一般選抜入学者と比較して、興味の幅が広く、授業のテーマに拘わらず、質問や発言が積極的である」「一般選抜入学者に比べ、プロジェクトベースの授業において、授業全体に対して積極的に関与していたとともに、グループワークにおいても積極的にリーダーシップを発揮していた」「全学共通教育の履修科目において、受講しながら1年生受講生へのサポートを積極的に行っている」「3回生前期配当の科目を2回生前期に履修、単位取得する等、自分の興味がある分野の講義の履修に対して積極的である」「履修科目での研究室訪問調査で、積極的・意欲的な活動が注目された」「クラス委員としてクラスを取り纏め、リーダーシップを発揮している」といった意見が寄せられ、狙い通りの入試として機能していると学内では受け取られているという。こうした経過を踏まえ、今後も特色入試を実施推進していく方向性に変わりはないという。2023年度の変更点等の詳細は大学HPを参照されたい。20201589155.820211659305.6取材協力:京都大学教育推進・学生支援部入試企画課20221658545.2(文/鹿島 梓)図2 京都大学の大学アドミッション・ポリシー図3 特色入試 志願状況推移多様で積極的な特色入試入学者

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