府立、市立、私立を越えた情報交換を目指す京都高校教員交流会大学と高校教員が連携できる組織を目指す教育委員会、産業界との連携は事務局間の丁寧なやりとりの積み重ね89校・大学教職員交流会」に名称変更する予定だ。わり続けていくという新しい形もできるかもしれません」京都高校教員交流会は、2018年度から始まった取り組みで、高校教員が参加し、京都府内にとどまらず学校や設置者の別を超えて意見交換ができる場となっている。「この交流会は学校の枠を越えた先生の交流の場。他校の取り組みや工夫、悩みを気軽に情報交換できる機会となっています」今年度はテーマとして総合的な探究の時間の授業の実践が焦点になっている。「探究の授業に取り組まれる高校の先生方は、ほかの先生になかなか理解されないという悩みを持っています。校内で孤軍奮闘し、全校的な取り組みになりにくいという悩みもあるようです。探究学習への取り組み方によって学校は変わる。そのためにはまず先生自身が自分の今までの教育観や授業観を変えて、生徒主体の教育に変えていく必要があります。昨年のフォーラム、交流会でも事例報告がありました。そういった情報の中で啓発され、自分の学び、考え直しの機会になっていくことが必要だと考えています」2020年からのパンデミック下で交流会もオンラインとなっていたが、対面での実施の要望は大きい。「府立、市立、私立の高校の先生が一度に交流できる機会のニーズは確実にあります。ほかの高校の取り組みを知りたいということです。そのネットワークはもっと広げていき、面と面の変化の広がりに期待したい」今後この交流会には大学教職員の参加も促し、「京都高こういった3つの取り組みをはじめ、教育委員会、産業界も巻き込み、大学コンソーシアム京都とともに意見交換を促進することで、大学からの視点だけではなく様々な観点を持ちながら高大連携の議論を進める。これが京都高大連携研究協議会の大きな特徴だ。「文部科学省の政策的な動向も見据えながら、京都ならではの高大連携をどのように実現するか。そのために京都のそれぞれの組織が持っている強みを生かし、枠を越えたつながりを推進していきたい」組織そのものもより良い形を目指して進化し続ける。「高大連携推進室は大学教員で構成されているため、高校のニーズを受け止めるためのすり合わせの場が必要です。推進室に高校の先生の参加も促したいのですが、今、教員の働き方改革や業務量の問題もあり、難しいのが現実です。教育委員会や私立中学高等学校連合会事務局を含めた拡大推進室会議は実施していますが、20周年を機に京都高大連携研究協議会内での連携がより緊密となるよう再構築していこうと考えています」20年という歴史を持つ京都高大連携研究協議会。確かな実績を積み上げてきた組織はどのようにできたのか。長谷川氏は「最初から全てうまくいっているわけではありません」と語る。「教育委員会もコンソーシアム側も担当者が変わると状況の捉え方が違ってきますので、何ごとも問題なく引き継がれてスムーズに運ぶというわけではありません。それがうまくいっているのは、高大連携の事業についての理解や、年度ごとの事業の進め方について、丁寧なやりとりを積み重ねてきていることに尽きると思います。そういう意味では各事務局が汗をかいて努力をしている部分が大きいですね。大学側のコンソーシアムと高校側の教育委員会等が1回の会議で決定に至らず、継続的な議論が必要になることもままありますが、事務局間で細かなすり合わせを重ねています。表には出ない部分も含めて丁寧なやりとりで信頼関係を作りあげていくことが様々な施策の実現につながっていくのだと思います」リクルート カレッジマネジメント234 │ Oct. - Dec. 2022(文/木原昌子)
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