カレッジマネジメント234号
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業務の性格直接業務間接業務直接業務間接業務強化が必要な業務今 後学内で担保・強化する業務「外部」を活用する業務93の共同化を促進すべきと感じるか」の質問に対して、「そう思う」「ある程度そう思う」の合計は64.8%に達している。その一方で、「業務の外部委託が増えている」との問いに対して、「そう思う」「ある程度そう思う」の合計は22.3%にとどまる。大学はこれまでも警備、清掃、食堂、施設・設備の保守・点検、システムの開発・維持、図書館等の業務を外部に委託してきたが、それ以降、目に見えて外部委託が増えているという状況には至っていないようだ。職員調査では、回答者の現在の職務を問うているが、その結果は多い順に「総務・人事」31.2%、「教務・学生支援」27.5%、「財務・経理」8.5%となっており、設置区分別にみると、国立大学の「総務・人事」が50.7%と突出して高いことが分かる。分母は回答者であり、実際の人員配置がこの通りとは限らないが、総務・人事や財務・経理等の「間接部門」に配置される人員がかなりの割合を占めていることが分かる。企業経営においては、これら業務の効率化を通して一般管理費を圧縮することが強く求められているが、大学も間接部門をスリム化し、教育・学生支援、研究、社会・地域連携、国際化等大学機能に直結する「直接部門」に人的資源をシフトしていく必要がある。同時に、直接部門か間接部門かを問わず、それぞれの職非定型的な性格が強い定型的な性格が強い務領域における定型的・事務的業務についても、これらに係る人的資源や費用の抑制を一層進めていかなければならない。そのためには、大学業務全体を俯瞰し、構造をどう組み直すかという発想が不可欠であり、理事長や学長等トップの見識と気概が問われることになる。その際に重要なことは、大学として職員に何を期待し、職員が成長できる環境をどう整えるかという視点である。18歳人口の減少は学生募集だけの問題にとどまらない。優秀な人材を他の業種・職種と競って確保し続けるために、仕事や職場の魅力を高めることがこれまでにも増して求められる。また、自校の中でしか通用しない人材を育てたのでは、大学の競争力は高まらず、雇用の流動化が進むなか、職員個々のエンプロイアビリティも向上しない。前述の職員調査を見る限り、国公私の設置形態を超えて職員が抱く閉塞感は深刻なレベルにあると思われる。また、雇用の安定や処遇の良さに満足し、現状維持を望む職員がいるならば、これはこれで問題があると言わざるを得ない。DXも業務の外部化も大学業務の構造改革である。特に、現 状業務の外部化による大学業務の構造改革の概念図外部化にあたって留意すべき4つの課題

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