カレッジマネジメント235号
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学科横断・高度専門工学教育プログラム学外に開くことで生まれる新たな価値・協業に期待  <最終目標>ものづくりDX/AIによる地域創生中核人材の輩出DX/AI と専門教育を高度に融合・連携する実践力を身に付けた学生数理・データサイエンス・AI教育認定制度 MDASH Literacy+全学AI教育 “地域課題解決型AI教育プログラム”で、企業とのPBLはオンライン会議ツールで議論する形がほとんどだったが、メタバース・ラボを活用すれば、協働してのシミュレーションや実験がやりやすくなる。また、企業に『メタバース営業所』や『メタバース研究所』を設けて頂き、その中でインターンシップを実施したり、共同研究を試みたりすることで、新たな企業との連携も広げていけるのではないか」と続ける。さらにもう一つ、小田氏が意識しているのは、メタバース・ラボを通じたダイバーシティの実現だ。女子中高生がメタバース・ラボで大学生活や授業を疑似体験して工学部の学びの面白さに気づくことで女子学生比率の向上につなげる、障がいのある人や育児中の女性等、外に働きに出づらい人が自宅からメタバース・ラボにアクセスしてスキルを身につけたり、企業と関わり働く機会を得たりする、これまでAIやデータサイエンスに触れてこなかった社会人がリスキリングとしてこの分野を学ぶことで関連分野の人材不足を補う等、多様な人に活用してもらうことを構想している。「地域の方々にとってもメリットがあり、学生も地域の社会人と交わることによって様々な経験ができる、win-winの仕組みを作っていきたい」と小田氏。メタバースはリアルの代替という考え方もあるが、小田氏はそうは捉えていない。「メタバースが得意とするところとリアルが得意とするところを効果的に組み合わせた教育を行い、他大学にも事例を共有していきたい」と意気込む。本(文/浅田夕香)格運用に向けて期待が高まる。 2030年に向けて乗り越えるべき壁大学経営5つのテーマ把握や交流・活動の熱量の数値化、活動できていない学生やメンタル不調の兆しの感知等が可能に。❹日本にいながらリアルなグローバルコミュニケーション体験オンライン会議ツールを用いたバーチャル留学を発展させて、よりリアルで臨場感のあるグローバルコミュニケーションを可能とするメタバース留学を2024年度より実施する。また、メタバース留学を経てリアルな留学への意欲を持つ学生が増えることや海外協定校との研究交流への発展も期待。❺現実世界では困難な実験やシミュレーションの実施現実世界では危険な立ち位置からの鉄筋コンクリートの崩壊シミュレーション、生き物の視界の見え方の再現、航空機のエンジンの動作の視覚化等、文字や映像では分からない視点からのシミュレーションや現実世界では不可能な実験も可能に。メタバース・ラボは学外にも開放し、地域企業の社会人をはじめ、中高生からリタイアしたシニアまで幅広い人達と共に学ぶ場にすることも構想している。その意義を河野氏は「メタバースそのものの体験や、研究・開発における実験・実証、産学官民をつなげる場として多くの人が気軽にメタバースの使い方を知り、そこから何か新しい価値観やプロジェクトが生まれることを期待している」と話す。小田氏も「これまDXに必要な要素技術AI応用研究所学科のものづくり専門科目の高度DX化ロボティクス演習メカトロ製作演習Ⅰ/ⅡCAD演習CAD/CAM基礎建築構造建築構造設計2D/3DコンピュータグラフィックスⅠ教育におけるICT活用の理論と実践DXエンジニアリング機械システム工学科交通機械工学科図 大学内におけるプロジェクトの位置づけメタバース・ラボDXデザイン建築・設備工学科情報ネットワーク工学科DXマネジメントDXエデュケーションAI・データサイエンス学科横断科目 “ものづくり実践プロジェクト”教育創造工学科29AIセンシング計測・制御システム3次元複雑形状設計・解析システム3次元複雑形状モデリングシステム3次元複雑形状計測・評価システムひび割れ予測用データ記録システム 等xRメタバーステクノロジシステム 等リアルPBL合同会議システム 等工学の幅広い技術力CAD/CAMIoT・センシングプロジェクト推進力シミュレーションセキュリティ例1:機械 × メタバース・ラボ(エンジニアリング)株式会社スポーツセンシングと連携し、センシング技術から身体の運動状態を評価し,運動効果を使用者にわかりやすく提示するシステムを構築。画像認識やセンシングを用いたAI/IoT技術を習得例2:(機械+情報)× メタバース・ラボ(エンジニアリング)久留米絣織元と連携し、織機部品のデジタルデータ化とこれを活用した多品種少量製品の高能率設計・生産技術を活用して、伝統技術の継承を支援例3:(建築+AI研)× メタバース・ラボ(デザイン)地元ゼネコン業者「金子建設株式会社」「松尾建設株式会社」と連携し、AI技術を用いた建設施工における作業安全管理、鉄筋コンクリート構造物のひび割れ予測システムの開発例4:(情報+機械)× メタバース・ラボ(デザイン・マネジメント)メタバース空間における建物や製品のデジタルデータ化に着手して、デザイン評価やユーザーエクスペリエンス検証。DXデザイン・マネジメントスキルを地域産業と連携し学ぶ例5:(教育+AI研) × メタバース・ラボ(エデュケーション)地域の児童・生徒、小中学校教員がメタバース・ラボに参加し、教職課程の学生とともにAI・データサイエンス・プログラミングを学ぶ機会を創出する。DX時代の教員を養成するプログラムの高度化課題解決力CG・xR特集01

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