カレッジマネジメント235号
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●松村直樹氏●飯吉 透氏学修のブロックを自ら積み重ねる特集 2030年に向けて乗り越えるべき壁 大学経営5つのテーマカーネギー財団知識メディア研究所所長、MITシニアストラテジスト、京都大学高等教育研究開発推進センター長・教授、教育担当理事補等を経て現職。コンピュータ利用教育学会(CIEC)副会長理事。JMOOC理事。国内外でテクノロジーを利用した高等教育のイノベーションに関するビジョン策定・研究開発・啓蒙活動に従事。──現在の潮流として、学修成果とデジタル化の関係性はどのようになっているのか、まずは飯吉先生から現状についてお話しいただけますでしょうか。 京都大学 学術情報メディアセンター連携研究部門 教授(教育イノベーション分野)また、デジタルによる学修履歴証明というテーマにおける、もう一つのキーワードとして、マイクロクレデンシャルがあります。大学の「学位」という認証単位が大き過ぎ、学位プログラム全体を最新化していくことに時間がかかり過ぎること等が問題です。プログラム全体を見直すには5年、10年と時間がかかりますし、分野によっては変化が速く、カリキュラム的に追いつけていないものもありますからね。これらの課題を踏まえ、学位プログラム全体ではなく、技能・知識レベルで細分化された学びを認証しアラカルトに積み上げていくというのが、マイクロクレデンシャル(図1)の考え方です。そもそも日本では、デジタル化が進む前から、学位と並走して情報処理技術者等、職に特化された多様な資格が存在し、就職・転職の際にも活用されてきました。紙ベースとは言え、これらの資格が社会的にも一定の価値を認められてきたという歴史や文化が既にあります。ですから、デジタル履歴書的なものを作り、個人が取得した資格を証明するデジタルバッジをそこに貼り付けるような使い方は、我が国でも一キャリア教育プログラムの企画開発、販売、運営実施を行う株式会社リアセック設立。またPROG テストの運営及び新しいキャリア教育サービス企業・株式会社ピックアンドミックス代表取締役。桜美林大学非常勤講師、東洋大学客員研究員。専門はキャリアアセスメント、キャリア教育。大学教育学会、初年次教育学会所属。株式会社リアセック 取締役30対談飯吉 学修成果のデジタルによる可視化の歴史的経緯を辿って言えば、まず「成績表をデジタル化して使えるようにする」というのが一丁目一番地。次に、電子ポートフォリオを学生に作らせて、「自分は何を学び、どんな成績で、何を身につけたのかを可視化する」という流れになりました。さらに大学は、ルーブリックを利用して、学生が身につけた技能や知識を評価し、電子ポートフォリオにレーダーチャート等で示す、といったことにも取り組んできました。学習プロセスと学修成果を一体的にデジタルで可視化し証明することで、大学での学びを社会に出る際の評価にきちんと接続させようというのが目的です。どのようにデジタルによる学修成果を評価するのか、学習者個人は学修履歴をどのように利活用できるのか。個人が自らデジタルコンテンツを自由に学び取っていける時代において、「大学」や「学位」の価値とは何なのか。教育イノベーションの専門家である飯吉 透氏と、本誌連載「学ぶと働くをつなぐ」の執筆者でキャリア教育の専門家である松村直樹氏の対談を通して紐解いていきたい。TalkTheme 04デジタルによる学修成果の証明と大学の出口

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