50適所適材を叶える採用において一つの尺度では無理があるるのもまた事実です。企業としては、効率的に人材採用はしたい。でも「学校歴」に依拠せず、優秀な人材を採用する機会は損失したくない。だから後者の判断をするうえで必要な、汎用的スキルやジェネリックスキルについて、大学が保証し、可視化し、証明してほしいと企業は思っているのですが、なかなか分かりやすい形では打ち出されていない、というのが現状でしょう。アメリカの場合は、例えばコミュニティカレッジで学んで、しばらく働き、また大学に戻って、さらに別の仕事に移る、といったような紆余曲折のキャリアを辿る人は全く珍しくありません。そのような人達に対して、採用面接の際は、これまで学業や仕事を通してどのような経験をしてきたのかを深く聞き出すわけです。家庭の事情で仕事に就いていなかった期間があるといったことも、必ずしもマイナス評価にはなりません。スキルだけでドライに選別しているわけではないし、出身大学がどこかも絶対的ではありません。これは、前提として雇用する側が、どういうチームの中で、飯吉 悩ましいですね。日本の場合は、DX化の悪い部分なのかもしれませんが、個人側もシステムを使って一斉に応募し、企業側もシステム上の設定で一気に門前払いする、というようなことが起きています。これでは、個々人の学びのプロセスや成果が適切に評価され、頑張りが報われるという状況にはならない。(%)30252015100.90.64.71.6どのような役割を担って、どのように働く人材を採用したいのか等の人材募集条件やそれに基づく採用のやり方に精通しているからだと思います。個人の生きざまも含めて、多様な観点からそのポジションにふさわしい適材を選ぼうとしているのです。松村 今後、働く側の考え方が変わる中で、適所に対して適材を採用しようという、いわゆるジョブ型の採用が、より進んでくる可能性があると思います。特に、日本では若い人の中には、2、3年で辞めて次の適所に移る前提で新卒入社する人が増えていて、3年以内離職率は大企業であっても高止まりのままです。個人の意識としても、昔に比べればジョブホッピングに対する抵抗感はなくなっていると思います。そういった就転職・採用が定着してくると、ナレッジベースなり、スペシフィックなスキルなりが正しく証明できる仕組みが活用される可能性が高まるかもしれないと思います。飯吉 アメリカでは、バッジのような特定の技能・知識のデジタル証明と、前職・現職の上司や同僚からの推薦や所見等を合わせて「自分を証明するもの」として示せるプラットフォームが使われています。大学の入学者選抜における16.87.35.1(出典:リクルート 就職みらい研究所 「採用活動中間調査 就職活動状況調査 データ集 2023年卒」)2030年に向けて乗り越えるべき壁大学経営5つのテーマ25.919.02.515.5図2 企業スカウト・逆求人サービスの利用開始年332015年卒2016年卒以前2017年卒2018年卒2019年卒2020年卒2021年卒2022年卒2023年卒2024年卒わからない特集01デジタルで証明されるのは、ナレッジやスペシフィックなスキルだが、人材採用において知りたいソフトスキルは見えない。(松村)
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