問題解決に必要な文理双方の態度を持ち合わせた人を育てる2005年に開設された同志社大学文化情報学部は、文化をデータサイエンス(DS)の手法で研究するという、文理融合型の学びを実践している学部である。当時はまだ少なかった文理横断的な学びに先進的に取り組み、実を結んでいる要因はどこにあるのか。学部長である下嶋 篤教授に17年間の歩みと今後の課題を伺った。学部開設時の狙いは、「課題や問題に対して、状況や内容に応じて文系的なアプローチと理系的なアプローチを切り替えながら解決できる人を育てる」ことだったという。その背景には、人は本来、文系的な態度と理系的な態度の両方を持っているにも拘わらず、文理を分けてどちらかだけを伸ばす教育が長年なされ、あたかも文理は人間の類型や能力の違いであるかのように言われるようになったことへの危惧がサブカルチャーゲーム漫画映画民謡デザイン歴史広告ファッション文学美術日本文学音楽芸術史アニメ時空間情報科学行動計量解析学複雑システム科学映像文化論情報デジタル・ヒストリー計算情報学人文情報学環境ソーシャルロボティクスメディア情報学メディア身体メディア人間あった。「問題解決において、まだ課題が課題としてはっきりと認識されていない時は、文系的な態度で問題を言語化し、そこからは理系的な態度で問題を規定・モデル化し、仮説を立てて検証していく。こうして文系的態度と理系的態度を問題の内容や状況に応じて切り替えて発揮できる人を育てるために、文理の障壁を取り払った教育を作ろうと始まったのが本学部です」と下嶋学部長は話す。そして、具体的な方法を模索する中で着目したのが、データの科学、今で言うDSだったという。当時、自然科学の対象ではなかった文化の研究にデータの科学を適用させていた村上征勝氏を学部設置準備室に招聘。芸術や芸能に限らず、文化情報学部 学部長下嶋 篤 氏中国語日本語理論言語学言語資源言語確率言語生態モデル統計音声学音韻論経済言語記述株式計量社会学医療マーケティング認知行動科学心理視覚表現教育認知方言英語社会調査図1 文化情報学研究が包含する領域文化情報学44事例データサイエンス数理幾何代数解析現象数理学論理データサイエンス統計科学プログラミングデータ駆動科学データベース比較文化視覚Case StudiesTheme 05連携・横断・共創の必要性データサイエンスを用いて文化を読み解き文理両面から課題解決に挑む人材を育てる同志社大学 文化情報学部
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