リクルート『カレッジマネジメント』編集長 小林 浩462030年に向けた社会は、第4次産業革命への移行期と言われている。18世紀末期以降の第1次産業革命では、蒸気機関による工業化が進み、20世紀初頭の第2次産業革命では電力による大量生産が進んだ。1970年代以降の第3次産業革命では、情報通信技術によりアナログからデジタル化への大きな変化が現在も進行中である。そしてこれから迎える第4次産業革命では、データドリブン、人工知能(AI)、ブロックチェーン、仮想現実(VR=バーチャル・リアリティ)により、人間の生活自体が大きく変化すると言われている。この第4次産業革命による技術革新は、大学にも大きな影響を与えそうだ。今回、2030年に向けた乗り越える壁と称して実施した5つのテーマにおける対談は、そうした大学の大きな在り方の変化を感じさせるものであった。まずは、急速に進むデジタル化・オンライン化によって、キャンパスの価値が大きく変化することである。専門知識の習得だけであれば、オンデマンド型や双方向型の授業で成果が上がっている。さらに、VRにより従来のフィジカルの制約を超越し、地域や時間の壁も越えてくる。そうした中、わざわざキャンパスに集まる意味は何か、大学というコミュニティーの価値が問われることになりそうだ。次に、マイクロクレデンシャルやデジタルバッジといった学修履歴を評価する仕組みの登場である。日本でも、一部の職種では従来型のポテンシャル採用からジョブ型採用への移行が始まっている。大学でなくてもオンラインプラットフォーム等で最新の知識・技能が習得でき、雇用者側から価値ある学修履歴だと評価されることになるとすれば、「学位」の持つ意味が問われることになるだろう。国際的な人材流動を見据えて、一足進んでいると言われる海外の動向を、しっかりとキャッチアップしていくことも重要となる。3つ目は、多様性や越境である。社会が大きく複雑化し、編集長の視点Editor-in-chief’ Perspectiveデジタル化社会の中で、大学の「パーパス=存在価値」が問われるようになる
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