カレッジマネジメント235号
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正解が一つではない時代を迎え、これまでの同質化社会や同一文化の中でのキャリアから、異文化の中での多様性を許容し、自律的なキャリアを築いていくことが必要となってくる。そのためには、専門内や大学内に留まらずに、壁を越えて他大学や他領域、他業種、異文化との交流や連携を深めていく必要がある。第4次産業革命による技術確認によって、様々な壁が低くなっていくことが想定される。その中で、異質を巻き込みながら、どのようにして新たな価値を生み出していくかが、生き残りの鍵になりそうである。4つ目は、こうした大きな変化に対応しながら、意思決定できる経営人材の育成である。Society5.0はデータドリブン社会であると言われている。しかし、最終的にデータを活用するのは人であり、このような時代の大きな変化に対応し、情報を上手く活用しながら、意思決定することができる経営人材の育成が期待される。以上のように、2030年に向けた大学が乗り越えなければならない壁を挙げてきたが、気づいたのは乗り越えなければならない壁(課題)は、大学も企業も、それほど大きく変わらないということだ。企業では、パーパス経営という言葉が浸透し始めている。大学も同じではないか。組織とは、元来目的を達成するために作られたものである。社会から求められる価値が多様化するなかで、本学はどのような目的=パーパスに向かっているのだろうか。建学の精神は現代に置き換えるとどうなるのか、ミッション、ビジョン、バリューは明確か、本学の存在価値は何なのか。社会に対して、どのようにそれを共有していくのか。遠いように思えた2030年はもう7年後に迫っている。今まさに、本学のパーパス=存在価値を見直す好機ではないだろうか。2030年に向けて乗り越えるべき壁大学経営5つのテーマ47特集01

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