カレッジマネジメント235号
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出願前の段階で目標・志向を整合する育成型入試の流れ総合型選抜と高校の対応出てくると、大学の「まずは学力ありき」という組織文化の変容につながります。研究型大学は特に、自分の問いに基づく研究が求められるので、「自らの意欲や目標」に軸足を置いた総合型選抜がアドミッションポリシーに整合しやすい向きもあるのでしょう。こうした動きが広がってくると、再評価されたAO入試の中で共通テストをどう使うのかという役割が自然と定義されてくるのではないかと思います。翻って、自分の問いに基づく「探究」にシフトしつつある高校現場からすると、望ましい入試がどのような形なのかは、丁寧に議論する必要があるところです。最近話題になるのは、「出願前教育」の流れです。出願前に受験生とのコミュニケーションを重ね、本人が何をしたいのか、それが本学にあるのか、どういう研究に結びつきそうなのかといった目標・志向から志望度合いを第一志望に引き上げて出願まで導く動きで、育成型入試とも呼ばれます。九州産業大学の「育成型入試」、島根大学の「へるん入試」等が該当します。いずれも多くの教職員が出願希望者と面談をじっくり積み重ねていくプロセスが肝となるので、組織的に大学がベクトルを向けて、内部の意識改革やトレーニングを行う必要があり、その負荷の高さゆえに広まりづらいですが、出願に至るまでに自分の目標等の整理、大学教育に臨む意欲醸成がなされているためマッチンリクルート入試実態2022調査より163,509人416,071人1,097,818人グ精度が高く、教育効果が高い人材になり得る可能性を秘めています。高校から見ても、高校までで培った目的意識や意欲を丁寧に大学教育につなげるこうした接続入試は、生徒の成長意欲喚起や探究教育推進に当たっても好ましいものです。そして出願前教育は、その特性上、総合型選抜を主戦場とします。高大接続活動の促進とこうした接続教育は相性が良く、新課程を経て本質的な教育改革を求められている高校と、その受け皿となる大学双方をつなぐ有用な手立てになると思います。高校は新課程の中身を理解し、生徒一人ひとりの探究等の成果を正しく評価してくれる大学入試を求めており、大学は大学で学修成果の可視化やディプロマポリシーを起点とした教学マネジメントが課されるなか、高い教育成果や進路実績を上げてくれる学生を求めている。その接続が目的意識や意欲評価によるミスマッチの解消と成果の最大化を兼ねるものならば、総合型へのシフトは当然の帰結とも言えます。出願前の段階でこうした要素を整合し、自校に望ましい第一志望層を増やすのは、本質的なアプローチと言えるのです。そうしないと、大学が用意している教育が完遂しないかもしれないわけですから。だから、教育を起点にしない学力偏重型選抜に偏るあり方も、短期的に「手間がかかる」というだけで出願前のプロセスを避けるのも、大学経営における課題認識が遅れている可能性がある。少子化の影響で激減する高校生に、いかに早くファーストコンタクトとして有効な接触をできるのかを考えるべきではないでしょうか。2,556,581人一般選抜大学入学共通テスト利用学校推薦型選抜総合型選抜参考1 私立大学(全国)入試種別志願状況51特集02

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