カレッジマネジメント235号
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(年度)2023202220212020201920182017201620152014201320122011201020092008200720062005学問啓蒙を軸に総合型選抜に移行する国立大学52リクルート カレッジマネジメント235 │ Jan. - Mar. 2023(人)80007000600050004000300025202280219020001640200614291000211274330国大協では、多様な入学者を受け入れる方針のもと、第3期中期目標期間最終年の2021年度までに総合型選抜・学校推薦型選抜等の入学定員を全体の30%にまで拡大する方針を2015年に示しました。文部科学省の公表によると、2023年度入試段階で19.6%なので目標に対しては未達ですが、枠を拡大した大学では入学後の成長の検証等が積極的に行われている。この背景には、もちろん国の政策に従うこと以外にも、国立といえども入学後のミスマッチの増加や、博士課程に進む学生が減少している危機感もあります。特に研究型大学にとって、教員の研究テーマに対して意欲の高い学生が増えれば、シナジー効果で教員の研究業績も上がり、博士課程への集客強化という意味合いで、高大接続に協力的な教員が増えるといった循環が回る。教育研究への寄与が実感されることで、学力よりも意欲を評価する入試の重要性が一気に認識される。常に、この「大学の教育研究」と「入試での評価」、ひいては「高校までの活0全体国立公立3306334433623247321630702870285428732899281026292468441452471402動歴」が紐づいていることが大事です。アメリカでは低所得層の中のタレント人材を発掘するためにアウトリーチ活動が行われていますが、日本の場合、学問領域への興味喚起を促すアプローチが新課程の探究活動との整合性も高く、またそうした活動に高校生が参加することは、面接評価が主体の総合型選抜において、面接の自己アピールで話す内容にもなる、という関係性にあるように思います。昨今は新課程導入に伴い、探究のテーマ探し等の文脈で高校から大学の研究サイドに声がかかることも増えていますが、大学側の迷いとして、そうした動きにどの程度対応するべきなのかがある。今までのように教員の個人的なコネクションで終わらせておくのか、正面から体制を構築して対応するのかといったところです。個人的には、受付窓口を設置して実働している大学は先見の明があるし、そうでない大学はそもそも高校側の動きすら追えていないことも多いと感じます。入学時点での適正人材確保が最終的な人材育成課題をクリアする可能性を鑑み、まずは高校の動きに対して全学的な対応組織を作り、高校と協働で人材育成をやっていくべきではないでしょうか。そう3529338727692822295246343744756557755595203479142704619441140463628940642745792文部科学省『令和5年度国公立大学入学者選抜の概要』P.8より抜粋766874137157629164036091126510661122参考2 国公立大学における総合型選抜の募集人員推移

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