カレッジマネジメント235号
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総合型選抜に限らず生徒が力を発揮する可能性も総合型選抜と高校の対応地元の人と一緒に地域の課題とその解決策を考える。イクルを3年間回します」活動のなかでは青山学院大学、法政大学、大正大学といった都内の大学生とも交流する。大学生を吉賀町に招いて外からの意見をもらい、続いて生徒達が東京に出向き、大学生と一緒にフィールドワーク。その後もオンラインでやり取りする。年度末には成果発表会があり、全学年の生徒が一人ひとり発表。小規模校同士がオンラインで交流する横断型探究プロジェクトにも参加しており、探究活動を言語化する機会が多い。さらに同校は、生徒が自分で成長の記録をつける「キャリア・パスポート」を2019年度から導入。探究活動や教科学習から行事や部活動まで含めて、どんな場面でどういう力が伸びて今後は何を伸ばしたいかを、資質・能力をベースに年3回振り返っている。探究活動が3年目に入るころには、生徒の変化も顕著に見えてくるという。人と話せず泣いていた生徒が、自ら地域の人と関わるようになった。活動のなかで将来の目標を見出し、「成長できた」と口にする生徒も現れた。そうした変容が総合型選抜でも評価された。キャリア・パスポートに3年間取り組んだ2021年度の卒業生には想定外の変化もあった。少なかった一般入試の受験者も増え、一次試験の共通テストで過去最高点を出して進学したのだ。「たまたまかも」と中村氏は慎重だが、探究活動と振り返りで学びたいことを見つけ、学習意欲が高まっていた面はあったという。定期的に自分を見つめて言語化するなかで「緊張しやすい自分は一般入試が向く」「秋までは受験より部活動を頑張りたい」などと周囲に流されることなく主体的に選択した面もあった。大学生とも交流し、意見を交わしていく。※地域みらい留学……都道府県の枠を越えて、地域の高校で学ぶ制度。一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォームが事業展開し、2022年度時点で約100校が参加している。なお、探究活動は3年間一貫したテーマで進むわけではなく、大半の生徒は紆余曲折があるという。3年生になってから自分の掘り下げたいテーマ、いわば大学でも学びたい分野が定まる者もいて、そうした生徒が総合型選抜にのぞむ際はより入念な準備が必要だ。「総合型選抜では『行きたい学部や学科につながる体験や思いがあるか』を問われると感じています。3年生になってから学びたいことが定まった生徒には、地域の方々にもご協力頂き、『専門家と会ってみる』ように促します。そこで気づきや新たな問いを得て、また動き、学びを深めてもらうためです」(中村氏)それだけの準備が必要だと思うからこそ、課題に思うこともある。総合型選抜では、選考の一部に共通テストを課すことがあるが、生徒がテスト対策まで追うと無理が生じるのではないか、という懸念だ。少なくとも「自分が何を頑張りたいのか考えることは大事」とみており、だからこそ中村氏は、総合型選抜で各大学が独自色を出してくれることを期待している。「大学によっては、総合型選抜で専門的なテーマのレポートを何度も課すところや、グループディスカッション重視を打ち出しているところもあります。すると生徒は、残された時間や現状を踏まえて、そこに挑めるかを考えるのです。結果、別の道を選ぶこともあれば、まだ至らないが頑張りたい、と奮起することもあります。生徒が自分を見つめ、ジャンプアップするきっかけにもなるので、どんな人を求めているかを試験内容でも明確にして頂ければ(文/松井大助)と思っています」 55特集02

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