●両角 亜希子氏●安井 望氏データドリブン経営とはデータをもとにした意思決定特集 2030年に向けて乗り越えるべき壁 大学経営5つのテーマデロイト トーマツ コンサルティングにて、Deloitte Digitalを含むテクノロジープラクティス全体の責任者を務めた後、デロイト トーマツ グループのDigitalテクノロジー担当および情報システム担当の執行役を務める。主な著書に、『いまのうちに聞いておきたいDXのためのデータ管理入門』『データドリブン経営入門』など。――まず最初に「データドリブン経営」はどういった手法を指すのでしょうか。デロイト トーマツ グループ パートナーう、社長の経験と勘だけで経営してはだめですよ、という感じでしょうか。――データドリブン経営は一般企業ではどれくらい進んでいるのでしょうか。経営のデータドリブンが進まないのは、結局データがあっても人がそれを判断できないということに起因しています。データの結果に対して意思決定ができない。どういうデータがあったら自分の意思決定が進むのかということ安井 日本企業の経営のデータドリブンはまだまだ進んでいない状況です。かつてビッグデータという言葉が出てきたころから商品開発の裏付けやカスタマー分析の分野でデータの活用が進んできましたが、その一部分にとどまっているのが現状です。東京大学大学院教育学研究科教授。博士(教育学)。産業技術総合研究所特別研究員、東京大学大学総合教育研究センター助手、助教、東京大学大学院教育学研究科講師、准教授を経て、2021年より現職。専門は高等教育論。主な著書は『日本の大学経営-自律的・協働的改革をめざして』『学長リーダーシップの条件』など。東京大学 教育学研究科 教授6対談安井 一言でいえばデータを使って経営しましょう、ということです。デジタル化が進む中で、企業や人の全ての行動をデータで表すことができる時代になっています。企業が意思決定するとき、これまでは勘や経験で判断していましたが、判断の裏付けになるデータが手に入るようになってきたわけです。そのデータを使いながら、より先を正確に予測できる経営をすることをデータドリブンという言葉で表しています。つまりデータを主にして経営をしましょSociety5.0といった社会変化に対応するため、組織の意思決定のスピードと精度をあげていくための「データドリブン経営」に注目が集まっている。大学では学修成果をはじめとする様々な成果や課題をデータとして可視化・分析するための機能としてIR組織が設置されているところも多い。しかしデータを経営の意思決定に繋げていくための議論は、まだまだ進んでいないのが現状ではないだろうか。今回は『データドリブン経営入門』執筆者であるデロイト トーマツ グループ パートナーの安井望氏と、大学経営論の第一人者である東京大学の両角亜希子教授を迎え、一般企業との比較も交えながら、大学における「データドリブン経営」の要所と課題をお話いただいた。TalkTheme 01経営戦略の実質化・経営意思決定のスピード化
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