カレッジマネジメント235号
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受験できるようになり、また、指定科目を修めて工業高校等を卒業すれば、二級建築士試験に挑戦できるようになりました。そこで私達は直ちに、在学中に一級建築士試験に合格するためのカリキュラムを編成しました。3年次までに二級建築士資格を取得し、4年次に一級合格へとつなげるものです。そして、同時に工業高校卒のアドバンテージを生かした「建築系高校出身者クラス」を設け、高校3年間で学んだ知識をベースに、2年次に二級建築士資格を取得できる体制を整えました。二級建築士資格があれば一級の受験資格が発生することから、これにより一級建築士にも早期に挑戦できるようになりました。2022年度は工業高校等出身者12人中11人が二級建築士の学科試験に合格。また、一級学科試験には17人が合格しましたが、このうち1人は工業高校出身です。建築系の大学生の場合は、二級建築士についても一級建築士と同様、卒業後に初めて受験資格が発生します。今回の結果で、工業高校等出身者は大学生よりも2年も3年も早く二級建築士資格が取れることが実証されました。実は私も工業高校出身で、長年にわたり同窓会長を務めてきましたが、せっかくの専門性を生かせないまま統廃合が進む工業高校の現状を憂いてきました。しかし、工業高校での3年間の学びをベースに、本校で資格試験対策に取り組むことによって、建築のプロが育つのです。一方、一級建築士については、2020年度に1人、全国最年少の21歳で一級建築士試験合格を果たしました。しんたに・ひでかず1940年生まれ1958年 大阪府立城東工業高等学校電気通信科卒業1975年 北摂ミサワホーム株式会社代表取締役社長1991年 学校法人二本松学院理事長1993年 一般財団法人京都伝統工芸産業支援センター理事長1997年 近畿経済産業局長委嘱伝統的工芸品産業地方協議会委員2016年 経済産業大臣委嘱伝統的工芸品月間推進会議委員2021年 旭日中綬章受章※1 放送大学 各分野のトップクラスの教員約2000人が、ハイレベルの授業を提供。4年以上の在籍期間にインターネット配信などにより、他大学と同様124単位を修得すれば、大学卒業資格が得られる。学問としての研究レベルや教材の難易度が高く、卒業率は30~40%(最短の4年間で卒業できるのは10%程度)と単位認定は厳格だが、KASDでは最短で無理なく卒業できるよう、単位の半数を内部の授業で修得できるカリキュラムを用意している。※2 放送大学との併修修了により取得可能※3 文部科学省HP「専修学校・各種学校一覧」より建築士は医師や弁護士と同様、一度合格すれば生涯にわたってその業務に独占的に携わることができる国家資格です。それだけに、ただ学校に通うだけで得られるものではありません。かといって、卒業して働きながら勉強することも容易ではありません。ですから、建築業界を目指すなら、在学中にまず二級建築士を、そして一級建築士を目指して頂きたい。一般的に建築技術職の場合、建築士資格がなければ現場主任などの管理職に就くことができず、生涯年収で数千万円もの差がつくこともあるという現実を、ぜひ保護者や高校の先生方にも知ってもらいたいと思います。KASDには高校での文系出身者が多く、在学中の一級建築士合格学内第1号も商業高校出身者です。目標を持って臨めば誰でも建築士になれると言っても過言ではありません。KASDは4年制で得られる高度専門士号に加え、学士※2、建築士の資格が取得できる日本で唯一※3の教育機関です。私たちはそれを可能にするカリキュラムとノウハウ、そして情熱を持って全力でサポートします。(文/能地泰代 撮影/米本満穂)65文系でも建築士に

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