熱の入った応募動機にうれしい悲鳴<ビジネス分野の学び>というコンテンツを作り込む東京理科大学オープンカレッジの取り組み66リクルート カレッジマネジメント235 │ Jan. - Mar. 2023一人ひとりが異なる志向を持つ社会人マーケットは、これまで18歳入学者に特化しその態勢を最適化してきた日本の大学にとって、「新たな市場・顧客」である。時々刻々と変化する環境下、また各大学それぞれに経営課題も利用できるリソースも異なる中、社会人マーケットの開拓を目指す取り組みには「正解」や「定石」のようなものは考えられない。しかし、だからといって立ち止まっていられる状況ではない。この連載では、さまざまな方法で社会人に向き合う先駆的な取り組みをレポートしていく。東京理科大学 社会人教育センター 平川保博 センター長2022年8月に募集を開始した東京理科大学オープンカレッジ「DX時代を先導するハイブリッド人材のための“リスキル×アドオン”プログラム」。同年9月に一般公募が締め切られた段階で、定員50名に対する応募人数は700名を大幅に超えた。「告知開始からの時間が短く、受講生が集まるかどうか危惧していましたから本当に驚きました。大わらわとなって全ての応募書類に目を通し、志望の明確度や業務経験とのつながりなどの項目で一つひとつ評価していったのですが、記載された応募動機はどれも非常に熱の入ったものばかりで、まさにうれしい悲鳴でした」(事務局を担う東京理科大学経営企画部・小原正之次長)。同プログラムは文部科学省令和3年度補正予算「DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業(DX分野等リスキルプログラムの開発・実施)」に採択されたもの。受講料は無料で、受講者はいくつかの必修講座を受講した後、「新規ビジネス創造コース」「データサイエ東京理科大 経営企画部小原正之 次長1985年生涯教育センターを設立(2001年に生涯学習センターに改組)2018年上記センターの取組も包含した社会人教育センターを設立。同センターのもと東京理科大学オープンカレッジ開設2020年オンライン講座を開始2021年開設講座が200講座を突破2021年文部科学省令和2年度補正予算事業「就職・転職支援のための大学リカレ2022年文部科学省令和3年度補正予算事業「DX等成長分野を中心とした就職・ント教育推進事業」採択転職支援のためのリカレント教育推進事業」採択ンスコース」「情報技術者育成コース」の3つのコースに分かれた選択必修講座を受講する。加えて、オープンカレッジの既存の講座をベースにした講座群から各自が自由に選択。各講座は1.5時間~10時間程度であり、全体の受講時間は60~80時間程度が想定されている。仕事をしながら学ぶ社会人はその最も貴重な資源である「時間」を投資するのだから、受講料が無料だからといって人が集まるというものではない(実際、同事業の採択プログラムにも、集客に苦しむプログラムは少なくない)。ではなぜ、同プログラムにこれほどの応募が集まったのか。東京理科大学でリスキリングに注力するビジネスカレッジの機能を持つオープンカレッジが開設されたのは2018年。「マーケティングの世界で<スターバックスの競合は他のコーヒーチェーンではなくディズニーリゾートである>と言われますが、ターゲットと提供価値の設定はそのコンテンツを継続的に盛り上げていくうえで非常に重要です。我々の場合は、ネットフリックスやAmazonプライムなどの動画東京理科大学オープンカレッジ沿革東京理科大学 DX時代を先導するハイブリッド人材のための シリーズ リカレント教育最前線 ①“リスキル×アドオン”プログラム定員50名に700名以上の社会人が殺到。受講者の声、企業の声を正面から受け止めプログラム設計に活かす
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