伝統の強化と変化を体現する学部改組・新設國學院大學は、渋谷と横浜たまプラーザに2つのキャンパスを持ち、文、神道文化、法、経済、人間開発、観光まちづくりの6学部、学生数約10,000人を擁する総合大学である。1882年、明治維新で欧米化の一途をたどる日本において、改めて日本の文化や歴史等を見直そうと設立された皇典講究所を母体とする。この成り立ちからも国学と高等神職養成が伝統的なイメージとして浮かぶが、120周年にあたる2002年に中期計画として策定した「21世紀研究教育計画」を契機に、この20年間で3つの学部を新設し、伝統を強化し時代の要請に応じてブランドイメージを変化させてきた。2002年に設置した神道文化学部は、文学部神道学科を学部に改組することで日本文化の基層にある神道の学びの深化と「神職の國學院」をより世間に明確に発信したものだ。共通教育科目「神道と文化」の全学必修化、日本を知る体験学習「國學院科目」開講など、カリキュラム改革も進めてきた。次に行ったのは「教職の國學院」の強化である。国史・国文・国法を教える教育機関として始発し、国語科と社会科の中学校・高校教員を多く輩出してきたが、2009年に人間開発学部(初等教育学科、健康体育学科)を新設し、2013年に子ども支援学科を増設した。これにより幼稚園教諭、小学校教員、中学校・高校の保健体育教員養成にも領域を拡大し、現在までに約1万人超の現役教員を輩出している。140周年に当たる2022年に新設した観光まちづくり学部は、「地域を見つめ、地域を動かす」をモットーに、地域の個性である歴史、文化、資源を継承し、地域の未来を豊かにする仕組みを考え、育てることを学ぶ学部である。「地域学長 針本正行 氏図1 渋谷キャンパス800近い大学があるなか、その大学ならではの独自性をいかに確立するか、そしてどのように高校生をはじめとするステイクホルダーに伝えていくかは、大学の経営戦略における生命線ともいえるだろう。本企画では、選ばれる大学としてのブランドを明確化するとともに、ブランド力向上のためのコミュニケーション戦略を磨き続ける大学を紹介する。図2 たまプラーザキャンパス72#4國學院大學学生自身が大学の魅力を伝え、國學院ブランドを磨き、成長させる
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