就職先の7割からは「協働する力」が身についている「駿大学生対応力」概念図75話を聴く場を整える自分の関わりの範囲を自覚する学生の長所や努力個性を認める話に耳を傾ける学生の考えや状況を理解する目標支援のプロセスを進める相手に望むことを伝える※ICEモデル…ideas、connections、extensionsを活用したモデル。本連載37、東日本国際大の事例紹介(234号)の中に詳しい気づかせるために問いかける状態を第三者の視点で伝えるゴールに向けた案を提供する⑤連携④承認替えて「駿大成長チャート」というシートにまとめたものを、3年生ゼミでフィードバックして、学生が自己の成長を確認できる仕組みだ。「配りっぱなし・測りっぱなしが一番よくないので、教員がゼミ単位で説明していますが、まだ改善の余地のあるところです」(梅村学長補佐)。取り組み定着のキーとなったのが教職の協働だ。3年生の各ゼミをキャリアセンターの職員がキャリアアドバイザーとして1人ずつ担当し、教員と職員が連携してゼミ生の就職を支援するのが駿河台大学の特色だという。「キャリアセンター任せにせず、教員も実際に学生達の就職を後押しするなかで、キャリア教育というのは狭い就職だけの話ではない、社会人基礎力を身につけさせることが重要だと教員たちも体得していったと思います」(大森学長)。「駿大社会人基礎力」を掲げて約10年の成果は、例えば卒業生の就職先へのアンケートで、回答者の7割弱から「協働する力」が「身についている」との回答を得た、という形で表れてきた。「『協働する力』は、領域的なキャリア教育だけで伸びるものではなく、機能的なキャリア教育の成果が出たと見ています」(梅村学長補佐)。「学生支援ガイドブック」を作成して教職員がスキルを磨く課題の一つは教職員のスキルアップだと大森学長は言う。「特に教員の場合、面談でも自分の伝えたいことばか①場作り②傾聴③理解⑩促進⑨要望りしゃべって学生が本当に何を言いたいかを理解できていないこともあると思います」。そこで2020年から教員職員参加の全学研修を実施、そのテキストを兼ねて傾聴などの基本スキル(カウンセリングスキル)と目標支援スキル(コーチングスキル)をまとめた「学生支援ガイドブック」も作成した。このガイドブックには、教職員が自らのスキルの状況を確認するためのICEモデル※に基づくルーブリックも収録しており、教職員のスキルアップへの手厚さと真剣度が表れている。ICEルーブリックに基づく研修計画のほか、ガイドブックに続き、教職員向けのeラーニングコンテンツも開発中だという。キャリア教育の今後の展開としては、授業手法などに関する暗黙知をライブラリー化・形式知化して各教員が自由に共有できる「駿大メソッド」の構築がある。大森学長は「各教職員が個人で一生懸命やるだけでなく、成果を上げたものをみんなで情報共有しながら大学として教育力の向上に結びつけていきたい」と力を込める。中期計画にも盛り込まれ、計画期間内(2026年度まで)の完成を教職協働のプロジェクトで目指すという。「アットホームな大学」の教職の一体感が、ここでも伝わってきた。⑥質問⑦フィードバック⑧提案(文/松村直樹 リアセックキャリア総合研究所)基本スキル目標支援スキル
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