データドリブン経営における留意点人+データ(デジタル)=経営データを一元管理・マネジメントするデータガバナンス成果や学生が何を得たかといったことはデータでは捉えきれないこともある。だからデータだけを見て、どうも自分の知りたいことを説明できていない気がする、ということだと思います。アンケートの結果に対しては「そもそも自分はアンケートのようなものに真面目に答えたことがない」「人によって反応が違うだろう」という声もあります。――自分の実体験からしか見ていないということでしょうか。両角 感覚ももちろんとても大事ですし、数値データだけを見なければいけないとは思いません。しかしデータが信用できないのであれば、「このデータが本当にこの取り方であっているのか」とか、「違うデータを取ればいいのではないか」と考えていくことが必要です。安井 企業の中でも似たようなことがあります。ものがいくつ売れたとか、何色が売れたとか、そういったデータは客観性があるので、データそのものを活用して色んな施策ができます。しかし、例えば社員に働き方改革に関するアンケートを取ったとき、改革したい人だけが答えて、したくない人は答えないわけです。とても恣意性が入っているデータなのに、そこまで信用していいのか、ということは必ず議図1 データドリブン経営とは多角的な事実(データ)に基づいて意思決定を行う経営を意味する 論として出てきます。そこでデータを信じる企業もあれば、信じない企業もある。結局人がやっていることなのでどっちかには振れてしまうので、客観性を保つということは非常に難しい。ですから、前提として何を知りたいのか、何の意思決定のために必要としているデータなのか、が非常に大切になってきます。――日本企業のデータドリブン経営はまだ進んでいないということでしたが、海外の企業は進んでいるのでしょうか。安井 日本よりも確実に進んでいます。最も大きな違いは、データを必要なときにうまくタイムリーに持ってくることができる環境にあるのか、このデータが必要ですと言われてから必死で探さなければいけない状態なのかという点です。データドリブン経営において、データへのアクセスの早さは大切です。そもそもデータを取ってきて分析しても何の結果も得られないことは日常茶飯事です。そのとき、すぐに違うものを探しに動いたり、データの取り方の変数を変えてみようということを機動的に行える環境が揃って■様々なデータ(事実を端的に表す)が活用できる時代(Digital化の恩恵)の経営■意思決定のスピードが求められる(いかに大量のデータを速く処理し、他社よりも速く意思決定できるかが競争優位の源泉となる)■そのためには自らの戦略(経営戦略/事業戦略)に必要なデータが何かを予め定義しておく必要がある(データドリブン経営は戦略ありき)(出典:安井 望氏資料)データドリブン経営 = DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を実行していくことで新たなデータが作成される様々なデータを使って分析を行う人とデータのループをエンドレスデータを元に新たな戦略を作る8自分たちが向かう方向性や課題を定義し、優先順位をつけて、そこからデータを使って意思決定してくことが重要(安井)
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