特集0121先端技術を活用し各種サービスを提供二酸化炭素排出量や生活用水使用量、エネルギー使用量等も確認できるプラットフォーム「SCIM(Smart City Information Modeling)」の画面。データの見える化により、エネルギーの効率化を目指しているが狙いだ。日本でもいくつかの地域で、スマートシティの建設・運営が行われている。神奈川県横浜市で展開されている「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」(以下「綱島SST」)もその1つだ。東急東横線綱島駅から徒歩12分の場所にあるこの街は、元の土地の持ち主であったパナソニック グループ、都市開発のノウハウを持つ野村不動産、アピタやピアゴ等の総合スーパーを展開するユニー、エネルギー企業のENEOS、そして慶應義塾大学や横浜市等11の企業・団体が名を連ねる「Tsunashima SST協議会」(以下「協議会」)が運営(図1)。「代表会員」を務めるパナソニック グループがとりまとめ役となり、各企業・団体がそれぞれの強みを持ち寄って街を発展させている。パナソニック グループのビジネスソリューション本部で綱島SSTを担当している小嶋源太氏は、スマートシティプロジェクトの狙いについてこう語る。「2014年、神奈川県藤沢市に『Fujisawaサスティナブル・スマートタウン』に続く綱島SSTは当社にとって2つ目のスマートシティプロジェクトで、2022年には大阪府吹田市で『Suitaサスティナブル・スマートタウン』をオープンしています。3プロジェクトに共通しているのは、パナソニック グループの工場跡地を活用している点。単に工場を閉鎖し跡地を売却するのではなく、周辺住民や他企業・団体と協力協議会には綜合警備保障(ALSOK)も参加しており、画像認識技術やAIを活用したセキュリティサービスの提供を予定近隣の小学校の「総合の学習」で、SDGsに関する取り組みを紹介した際の様子。若年層へのアプローチも、綱島SSTにとって重要な課題だしながらスマートシティを実現する。それによって地域の価値を高め、ひいてはSDGsにもつながるように持続可能な世界を実現することが、私達の目標です」(小嶋氏)綱島SSTには、集合住宅や学生寮、ショッピングセンター、研究施設等が併設されている(図2)。そして、各施設ではスマートシティの実現を目指し、6つの「スマートサービス」を提供中だ。1つ目のサービスは「エネルギー」。街全体でエネルギー利用の最適化を図る仕組みを導入している。例えば集合住宅の『プラウド綱島SST』では、各戸の詳細な使用エネルギーを把握できる仕組みを取り入れることで、賢いエネルギー利用を可能にした。2つ目は「セキュリティ」。街の中にガードマンの待機拠点を設置し、問題発生時に素早く駆けつけられるようにしている。3つ目は「モビリティ」で、自動車や自転車、公共交通機関を組み合わせることで、エコで快適な移動を実現。4つ目の「ウェルネス」では、クリニックや薬局、保育所等の施設を整備したり、住民の知的好奇心を満たすセミナー・イベントを実施したりしている。綱島SSTでは、小型EV等を使ったカーシェアリングサービスや、遠隔地から位置情報や電池情報などを取得できる「IoT自転車」によるサイクルシェアサービスが提供されている。組み合わせることで、便利で環境にも良い使い方が可能だ綱島SSTで提供されているスマートサービスの具体例大学にとってのSDGs
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