カレッジマネジメント236号
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22短期的KPIより長期的KGIを重視※1 再生可能エネルギーである「太陽光発電」を始めとする新エネルギー、革新的なエネルギー高度利用技術として、エネルギーの多様化に貢献する「天然ガスコージェネレーション」「燃料電池」等の新規技術を含む。※2 スマート技術開発施設の研究エリア部分を除く。※3 CCP(コミュニティ・コンティニュイティ・プラン):災害発生時のライフライン確保3日間を設定。※4 主要出入口での映像取得率100%で、まちの安全を守ります。※5 発報からの駆けつけの目標時間。交通状況により遅れる可能性があります。※6 LEED ND(Neighborhood Development):LEED (Leadership in Energy &Environmental Design)は、米国グリーンビルディング協会(USGBC:US Green Building Council)が開発、および運用を行っている建物と敷地利用についての環境性能評価システムで、LEED NDはそのエリア開発版です。慶應義塾大学の国際学生寮に住む学生を対象に、意見交換会を実施。街の住人である学生からのアイデアは、ビジネスのヒントを求める企業にとっても貴重だった 5つ目の「コミュニティ」で大きな役割を果たしているのは、パナソニックが手掛ける「タウンイノベーションセンター」だ。この施設は、慶應義塾大学の国際学生寮の1階に設置されていて、住民同士、あるいは住民と学生の交流に使われている。また、技術やマーケティングの実証実験が行われることもある。そして6つ目の「ファシリティ」では、街全体を3次元モデル化し、そこにエネルギー使用量や環境関連情報、交通分析情報等を組み込んだ仕組みを構築することで、快適な暮らしの実現を図っているのだ。複数の企業や団体が共通の目標に向かい、理想の街づくりを行う取り組みではあるが、一方で企業・団体ごとに目的もあるため、その利害を調整してまとめるのは簡単ではないと小嶋氏。「協議会メンバーの多くが歴史ある企業で、お互いに企業文化も利害も異なります、ただ、街づくりというものはとても大きなテーマで、多くの企業・人の協力が不可欠です。今後も、多くの方々と共に、プロジェクトを進めたいですね」(小嶋氏)綱島SSTでは、二酸化炭素排出量減等を目指す「環境目標」、災害等が発生した際に3日間で通常の状態に復旧できるという「安心・安全目標」、トラブルの通報を受けてから15分以内にガードマンが駆けつける等の「セキュリティ目標」を、街全体で設定している(図3)。ただし、これらの目標はあくまで通過点に過ぎないというのが、関係者の共通認識である。「綱島SSTは『サスティナブル・スマートタウン』と銘打たれているとおり、長く持続させることを目指しています。そのため、目標を達成したらそれで終わりということではありませんし、数値目標の達成だけでプロジェクトの成否が決まるわけではないと、私自身は考えています」(小嶋氏)企業や大学、地域等が、それぞれ持ち味を発揮しながら、終わりのない共創を続ける。そうした中では、短期的なKPIより、人々の交流を促して地域に貢献する、他社や大学等とコラボレーションしてイノベーションの芽を見つける等の長期的なKGIを実現することのほうが、より大切だという考えだ。図3 綱島SSTの環境目標、安心・安全目標、セキュリティ目標、 グローバルな環境認証評価図4 パナソニック グループ×慶應義塾大学×綱島SST× 企業・ 学生・地域でまちのイノベーションアイデアを事業化

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