カレッジマネジメント236号
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特集0127人材育成、資金調達…大学経営へのメリットそこに研究テーマをフォーカスしていく「バックキャスティング」の考え方を取り入れ、研究と社会実装を同時進行していくことが特徴だ。信州大学では、最初に追うべき将来課題を定めるためのフューチャーセッションを行った。企業・団体だけでなく一般市民も巻き込み、20年30年先の社会のあり方と課題を議論したという。「本学のカーボン、ファイバー、無機結晶といった材料科学の技術を生かせる分野を将来の社会からバックキャストした時に見えてきたのが水問題でした」(天野氏)。そこから企業とともに一緒に取り組める形を数カ月かけて練りこんでいった。アクア・イノベーション拠点は、こうして企業と共に同じ目標に向かって長期的に取り組める「アンダーワンルーフ」と呼ばれる体制を実現。現在、一部の研究は社会実装の試験段階まできており、タンザニアの風土病を解決するために地下水のフッ素を吸着除去し100世帯に給水する試験が開始。研究と社会実装の連携が着々と実りつつある。実は同大学ではアクア・イノベーション拠点発足を機この体制図は信州大学が文部科学省及び科学技術振興機構が推進するCOIプログラムを実施していた2022年3月31日までのものです。東レ表面重合膜信州大学バイオ前処理・安全性評価信州大学に、工学部に水環境・土木工学科を設置し(2016年4月)、未来人材の育成にも方策を講じている。水問題というSDGs的にも長い目線で取り組まなければいけない課題には、社会にそれを定着させるための教育も必要だという考えだ。卒業生達は水関連企業へ就職し始めており、将来の人材として水環境課題を解決していく活動が期待され、大学と企業をつなぐ大事なループとなっている。また、SDGsにも掲げられる課題の解決に向け、企業との連携によって社会実装を加速することは、大学経営においても大きな意味を持つ。「まず知的財産として研究成果を高めることは、それに着目した社会実装を担う企業に注目され、新しい研究を活性化させる資金を得ることになる。企業連携のもと研究を社会課題に合うようにチューニングすることで、出資企業が増えていくことも見込まれる。こうした研究と社会実装の好循環を持続的に回していくためのプラットフォームであり、さらにこの経験から得たノウハウは、将来の研究にも応用できるはず。本学はこうしたサイクルを構築して、SDGs関連研究を軸にした社会貢献を継続していきたい」。天野氏の言葉は力強い。(文/木原昌子)東レ信州大学アクア・イノベーション拠点体制図【中核拠点】:信州大学 遠藤守信研究リーダー エグゼクティブアドバイザー :上田新次郎アドバイザー サブ研究リーダー :谷岡明彦、一ノ瀬泉(NIMS):信州大学 林卓哉、手嶋勝弥、 木村睦、竹内健司 東レ 高橋弘造システム化日立製作所 栗田工業分離膜のモジュール化インテリジェント物質分離技術ナノカーボン分離膜信州大学 東レ 昭和電工 北川工業 LIXIL吸着・イオン交換材料信州大学トクラス【COI-S拠点】大学にとってのSDGsプロジェクトリーダー日立製作所 大西真人サブプロジェクトリーダー東レ 高橋弘造研究リーダー信州大学 遠藤守信アクア・ネクサスカーボン-プラットフォーム(AxC-PF)信州大学工学部水環境・土木工学科水循環の解析・予測・シミュレーションと計画方法論海洋研究開発機構(JAMSTEC)中央大学発展途上国の水環境改善信州大学システム構成技術信州大学水関連科学理化学研究所信州大学高度情報科学技術研究機構【サテライト】理化学研究所 高度情報科学技術研究機構長野県拠点活動支援、地域企業取りまとめ、システム実証支援等

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