カレッジマネジメント236号
28/91

2幅広い教養1高い倫理観CASE2019年に「千葉商科大学SDGs行動憲章」を策定し、第二期中期経営計画(2019年〜2023年)において「SDGsの達成への貢献」を重点戦略の一つに据える等、SDGsの推進を経営の軸足の一つに置いている千葉商科大学。その背景や具体的な取り組み内容、成果について、原科幸彦学長に伺った。同大学がSDGsの推進を経営の軸足の一つに置くのは、「建学の理念にぴったりと符合するから」と原科学長は説明する。建学の精神とは「商業道徳の涵養」。商いの目的をお金儲けとするのではなく、社会に何らかの貢献をすることで、結果として利益がついてくるという考えだ。このためには、「義」「勇」「仁」の武士道精神を持って、社会や環境に配慮した良い商いを行うことが必要だ。この考え方は、誰一人取り残さないという配慮の心で、持続可能な社会を作ることを掲げたSDGsの精神に通じる。そして、「義」「勇」「仁」を兼ね備えた人材として、大局的見地に立ち、時代の変化を捉え、社会の諸問題を解決する、高い倫理観を備えた指導者を「治道家(ちどうか)」と名付け、実学を通してその育成を目指している教育の方向性(図1)も、それを実現することがSDGsの達成につながっていくことから、経営の軸足に据えているという。28SDGsの考えに符合する建学の理念3専門的な知識・技能基盤教育を整備し、治道家の育成を強化SDGs推進のための取り組みは多様にあるが、原科学長が2017年の学長就任時にまず着手したのが、4つの「学長プロジェクト」だ。以下の4つのテーマで学部を超えてプロジェクトを組み実施している。「会計学の新展開」はDX時代に対応した新しい会計学のあり方の探究、「CSR研究と普及啓発」はCSRだけでなく、真に社会に必要とされるSR(組織の社会的責任)の探究、「安全・安心な都市・地域づくり」はキャンパスのある千葉県市川市国府台地区を防災拠点とするとともに地域の活性化。そして、「環境・エネルギー」は、大学所有の太陽光発電施設による発電量と大学のエネルギー使用量を同量にする「自然エネルギー100%大学」の実現に取り組んでいる。最後の「自然エネルギー100%大学」プロジェクトにおいては、2019年に電力に関して100%大学を達成、2020年には電気+ガスの総エネルギーに関して100%を達成した。ただし、後者の達成はコロナ禍でのもので、平常時とは大学の活動※『千葉商科大学統合報告書2022』より編集部作成学長原科幸彦 氏4年間の学びのイメージ基盤教育主として、高い倫理観、幅広い教養を身につける経営企画部長柏木暢子 氏学部教育主として、専門的な知識・技能を身につける図1 千葉商科大学で身につけられる力と学びのイメージ❶社会規範意識・誠実さ❷主体性・責任感❸チャレンジ精神・実践力3つの力と6つの能力要素❹相互理解・コミュニケーション力❺普遍的な知識・技能❻専門的な知識・技能1年次                  4年次「SDGsの達成への貢献」を重点戦略に据え人材育成や地域連携に取り組む千葉商科大学3

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る