CASE新約聖書の一節『地の塩、世の光』をスクール・モットーとして、「自ら問題を発見し解決する知恵と力をもつ人材を育成する」教育研究共同体であることを理念に掲げる青山学院大学。2022年5月、このスクール・モットーを具現化すべく、中長期志向の行動計画『青山学院大学 サステナビリティレポート2022(以下「サステナビリティレポート」)』(青山学院大学 中長期計画)が策定された。その意図と狙いについて、阪本浩大学学長と小西範幸副学長(総務・財務担当)に話を伺った。私立大学に対しては2020年以降、学内のガバナンス強化や教育の質の向上を目指し、中期的な計画を策定することが義務化された。「サステナビリティレポート」は、青山学院大学においてその中期的な計画に位置付けられるものである。「サステナビリティ及びSDGsの枠組みとスクール・モットーにはもともと高い親和性があり、中長期計画のテーマが持続可能な社会への貢献になったことはある意味必然だった」と、「サステナビリティレポート」策定の中心的存在となった小西副学長は語る。小西副学長は10年以上前から経済社会の発展と組織の発展の両立をテーマに研究を重ねてきたキャリアの持ち主でもある。策定に向けては、大学執行部の下、小西副学長を委員長に学部長や研究科長などから構成される「中長期計画検討委員会」が設置された。その下には学長補佐や政策・企画部、庶務部などを交えた「検討小委員会」を設置。関連し得るあらゆる部署から意見を集め、オール青山で策定が進められた。「上層部がトップダウンで策定するのではなく、共有と共感を高めるために広く学内の声を集めたことが特徴の一つ」と30スクール・モットーとSDGsの高い親和性13マテリアリティと52メトリックスからなる価値創造モデル小西副学長は言う。一方で、オール青山での策定の実現には阪本学長の強いリーダーシップも不可欠だったと振り返る。実際の策定に当たっては、中長期で大学が取り組む13のマテリアリティ(重要課題)と、各学部・研究科や各部署からそれぞれにサステナビリティにつながる複数のメトリックス(指標、目標)が挙げられ、策定の各プロセスにおいて上層部と各学部・研究科、事務方らがコミュニケーションを何度も重ねた。この「策定の見える化」が、行動計画としての「サステナビリティレポート」の特徴の一つである。議論と取捨選択が重ねられた結果、最終的に最大公約数的な52のメトリックスを制定。このメトリックスを実現することが青山学院大学の強みの共有・共感を生み、スクール・モットーである『地の塩、世の光』となり得る存在=「サーバント・リーダー」の育成へと繋がり、持続可能な社会への貢献が実現される。約1年半の歳月をかけて作り上げたこの行動計画は、「価値創造モデル」と呼ばれるピラミッド型の図によって視覚化されている。こうして「サステナビリティレポート」を作成したが、そもそも同学では、各学部・研究科、各学生団体において以前からサステナビリティにつながる行動が同時多発的に行われていたと小西副学長は言う。そのため有効、有意義な活動が各学部・研究科間で共有されず、学内の共感を醸成するに至っていなかった。「サステナビリティレポート」は、そうした動学長阪本 浩 氏副学長小西範幸 氏「オール青山」で策定された中長期計画『サステナビリティレポート2022』青山学院大学4
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