カレッジマネジメント236号
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特集01基本コンセプト「自省利他」35「龍谷チャレンジ」で学生の活動を支援コレクティブ・インパクトの実現に向けた共創のハブに和歌山県・兵庫県・ 三重県活動例龍谷大学が社会的責任投資として出資した「龍谷ソーラーパーク」による地域貢献型発電事業での連携滋賀県活動例滋賀県知事を農学部客員教授に迎え、県と連携を強める。他、大津市、草津市、湖南市、 東近江市、 米原市、守山市、 栗東市等とも連携を行っている。いる。近年は特に起業・創業を支援する講座が多い。またREC内には、バングラデシュの経済学者で2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士の名を冠し世界78カ所に展開する「ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター」があり、ユヌス博士が提唱するソーシャルビジネスの研究と社会実装を目的にプログラムを展開している。さらに龍谷大学では、起業を目指す学生に対し、龍谷学生活動支援制度「龍谷チャレンジ」を用意している。2022年度は「自主活動部門」と「社会連携・社会貢献活動部門」の2部門を設け学生団体を募集。社会連携・社会貢献活動部門では、大学のカリキュラムやRECのプログラムの中で起業への意欲や社会的な課題を感じ、その解決に向けた活動を展開する団体に対して、年間最大30万円を助成している。助成だけではない。事業を展開するうえで必要となるオフィススペースを確保できる本格的なインキュベーションルームの提供、起業をテーマとしたセミナーの開催、メンターによる起業相談等のサポート、ソーシャルビジネスのマネタイズやビジネスモデルの構築に向けた教員からの積極的なアドバイスなど、ビジネスにおける社会連携を志すSDGsの理念地方自治体・企業と連携して地域貢献型事業や各種プロジェクトを展開事業の一部利益は地域活性化に活用京都市 活動例京都市・田中宮市 営住宅自治体・龍谷大学の3者が公共空間利活用と 周辺地域活性化に係る連携協定を締結地域活動や学びの場を提供すると共に、龍谷ソーラーパークの利益の一部を学生の社会貢献活動に還元起業家が育ちやすい環境がハード面、ソフト面とも非常に充実している。こうした取り組みが少しずつ実を結び、SDGsに対して非常にアクティブな大学であることが世間に浸透する中、最近では地域とのパートナーシップ構築に向けた試みが進みつつある。例えば、マネタイズが難しく融資における審査で不利になりがちなソーシャルベンチャーのために、地域の金融機関と連携して財務諸表だけでなく事業そのものを評価・認証する仕組みが構築され、注目を集めている。「ソーシャルビジネスやソーシャルベンチャーをサポートすることは、今後の本学にとって非常に重要な柱となっていくはず」と深尾氏。行政、教育機関、企業やNPOといった市民組織など、多様なセクターがそれぞれの強みやノウハウを活かしながら協力する「コレクティブ・インパクト」の実現も、2039年に向けて龍谷大学が目指すところだ。共創のハブとして社会とつながりながら、本当に地域にとって必要な大学、「あって良かった」と思われる大学であり続けるために、「仏教SDGs」の概念を今後も突き詰めていきたいと語った。龍谷大学正課活動 例■廃棄食品の活用■フェアトレード活動課外活動 例■田中宮市営住宅■坂本菊伝承プロジェクト(※)■近江つけもの開発ブロジェクト(※)■カフェ樹林での障がい者雇用※龍谷チャレンジ正課教育に加え、独自の支援制度で学生の社会貢献活動を促進起業活動 例正課・課外でSDGsの理念を学んだ学生が、在学中や卒業後に起業■はたけのみかた■革靴をはいた猫■アカイノロシ■RE-SOCIAL(文/髙橋晃浩)「誰一人取り残さない─No one will be left behind」学生大学にとってのSDGs教育学生支援・教育支援SDGs達成に向けた龍谷大学独自のエコシステム=複数の目標に「横串を刺す」ことで目標達成を目指す実践的研究社会的課題研究仏教SDGsの理念浄土真宗の精神:阿弥陀仏のはたらき「摂取不捨」地方自治体・企業SDGsと仏教の精神を結び付けた「仏教SDGs」で持続可能な社会の実現へ社会貢献ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター部局長会(常任理事会)仏教SDGs推進協議会単発の取組ではない循環型の社会貢献・人材育成サイクルを構築国際連携発展

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