カレッジマネジメント236号
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5自分達世代の「強み」・「弱み」は?「弱み」図表10 自分達の世代ならではの「強み」(自由回答)図表11 自分達の世代ならではの「弱み」(自由回答)「強み」世代の名前に続き、自分達世代の「強み」・「弱み」を尋ねた。この設問は世代特有の自己像を探るものとして問うており、ここでは10年前の高校生の回答と比較する。図表10の「強み」には、2012年と2022年に共通して情報技術関連の項目が並ぶ。2012年の理由には「パソコン・デジタル機器・ネット・ITに強い」「ITなど新しいものを享受することができる」「情報量が多い」等が並んでいる。2022年の回答にも2012年と同じように情報技術に適応している自負が見られるが、総務省の調査(※)によると2012年から2020年にかけて、世帯のスマホ保有率は49.5%から86.8%に増加している点が大きく異なる。2022年特有のものとして「誰とでも繋がれるSNS等を使い、強い発2012年調査(n=1239)2012年調査(n=1239)56信力がある」「プログラミング教育」等、SNSを活用した情報発信や、プログラミング技術の習得等、技術を利活用する姿勢がより強くなっている様子がうかがえる。図表11の「弱み」の上位3位は2012年と全て異なる項目となった。2012年は1~3位全て共通して、1位「ゆとり・ゆとり教育・ゆとり教育世代」を筆頭に、学力面、精神面の弱さが並び、自由回答をみると「ゆとりだから他の世代より頭が悪い」「ゆとり世代なので、他の世代より甘えてしまう」等、ゆとり教育を受けたことに対する引け目や劣等感が原点になっていた。一方、2022年の1位「コミュニケーション・会話が下手」についての自由回答には「ネットに慣れすぎて対面コミュニケーションが苦手」等、新型コロ2022年調査(n=1727)2022年調査(n=1727)※出典:総務省「1 情報通信機器の普及状況」『令和3年通信利用動向調査』ナウイルスの影響も相まって、対面コミュニケーションの機会が減ったことも拍車をかけていると考えられる。2位「インターネット・SNSへの依存やトラブル」については、「強み」である情報技術との付き合い方の負の側面を認識している様子が分かる。またSNSの普及に伴い、個人のリテラシーの有無が犯罪に巻き込まれる可能性を大きく左右すると認識しているようだ。最後に、「経験不足(人生・社会)」についてはまさに2022年の高校生特有の「弱み」といえる。2012年には若さは強みであった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響をもろに受けたことから、自分達が期待していた学生生活が送れなかったことが痛手として「人生経験が不足している」という言葉に集約されているといえるだろう。「強み」1位: 「インターネットに長く触れてきた経験を活かし、IT技術を使ったスムーズでグローバルなつながりを構築できる」2位: 「学生がスマホを持つのが当たり前で、学校でもPCを使うのが当たり前になっており、機械の操作方法等が社会に出る前に学べる」3位: 「ネット環境が整っているおかげで自分達で調べたり発信する力がある」「弱み」1位: 「ネットに慣れすぎて対面コミュニケーションが苦手」2位: 「スマートフォン依存など強みが裏目に出てしまっているところがある。また自分の個人情報を守るのではなくどちらかといえばさらけ出してしまっているところ」「SNSによる犯罪やトラブルが多くあること」3位: 「コロナによってできなかった経験(修学旅行・部活動)などで人生経験が少ない」1位IT・情報化社会・デジタル(11.6%)2位若さ(5.4%)3位インターネット・ネット(3.3%)1位ゆとり・ゆとり教育・ゆとり教育世代2位学力・学習不足・知識不足・頭が悪い3位諦めやすい・我慢できない・忍耐力(が(25.0%)(8.6%)ない)(3.5%)1位インターネット・SNS(22.0%)2位IT・情報化社会・デジタル(15.6%)3位情報の収集力・伝達力(5.8%)1位コミュニケーション・会話が下手2位インターネット・SNSへの依存やト3位経験不足(人生・社会)(4.7%)(9.7%)ラブル(5.8%)高校生のリアルVoice2022デジタルネイティブならではの表裏一体の強みと弱み

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