カレッジマネジメント236号
63/91

63学生アンケートを起点にした教学マネジメントで教育を改善による知の拠点形成のための基礎整備事業」が採択された。大学としてのブランディングにこうした20年来の知的資産の蓄積を活かしていこうというわけだ。今回取り組むメタバースは、当然こうした文脈の延長線上にある。では、そもそも何故デジタルアーカイブ領域に踏み出したのか。それは、前学長が岐阜大学教育学部で教育工学の専門であったこと、及び現学長が元岐阜県教育長で、現在も岐阜県のDX推進協議会の委員として教育分野のDX推進に前向きであること等が起因している。横山教授もまた、理科教育における教育工学の専門家である。時代に即した新しい教育をどう設計するのかを考えた時、教育効果の高い手段としてデジタルの有効性は自明だったという。「子ども達は、自分で課題解決するためのツールとしてデジタルが効果的だと分かると、あとは主体的に勝手に使っていく傾向があります」と横山教授は話す。大学としてデジタルで利活用できる教育素材を作る意味合いで地域資源のデジタルアーカイブ化を進め、それが結果として地域の利益につながる。教育と地域貢献を両立する取り組みなのである。翻って、同大学は地元就職率が2017年実践のエビデンスをもとに三つのポリシーの改善カリキュラムの改善教育研究資料アーカイブ−PDCA−・三つのポリシー・カリキュラム度81%と高く、卒業生は地元地域を支える人材として、地域を知り、地域に貢献し、地域の課題を解決できる姿勢や専門性を持つことが望ましい。そのため、専攻ごとに地元地域とのコラボレーションを多く創出してきた経緯がある。こうした地域貢献の文脈に、20年来の知的資産の蓄積を重ねた時、より一層の地域振興を叶える手段として挙がったのがメタバースだったのである。また、2019年に構築された教学マネジメントの存在も大きい。同大学では毎年とっている学生アンケートを起点にした教育の見直しと改善を行っており、PDCAサイクルを回す文化が根づいている。三つのポリシーに即して学生の学修成果を最大化し、質を向上していくためには、教育データの集積とその分析、及びデジタル空間も利用した教育の展開が欠かせない点も、こうした改善サイクルの中で当然のこととして議論されてきたという。今後メタリクルート カレッジマネジメント236 │ Apr. - Jun. 20232009年〜「学びの内容」の質的向上・学修内容と行動目標表・シラバスの構成・入学前、基礎、専門、資格テキスト2015年〜「学びの活動」の質的向上授業の内容・基礎の学び・専門教育・資格取得学びの指導の違いを配慮岐阜女子大学デジタルアーカイブ全学教学マネジメントの概観研究活動の記録3)、卒論の記録4)(反省、課題を見いだす、次への課題)(地域連携プラットホームへ)エビデンスをもとに建学の精神、教育理念アドミッション、カリキュラム、ディプロマ教育内容の構成(教科)学修研究活動(学生)学修ポートフォリオ1)教育研究資料デジタルアーカイブ地域連携研究資料(共同研究) 地域文化資料(岐阜、全国の地域資料等)学生の学びの質の向上・三つのポリシー・カリキュラム  の評価・改善学びの質の向上へ(可視化)三つのポリシーコア・カリキュラム学習指導・支援(教員)ティーチングポートフォリオ2)学修支援資料、資格・就職関係教員の教育の質の向上(カリキュラム、学習指導の向上)教学のIR

元のページ  ../index.html#63

このブックを見る