カレッジマネジメント236号
73/91

73「四国地域大学ネットワーク機構」の設立と「大学等連携推進法人」の認定取得く。そのために大学が手を結んでリソースを有効に活用できる仕組みを作りましょう、というものだ。あえてこの形を目指した理由を佐古氏は次のように説明する。「教員養成に限れば、各県に教員養成を役割とする大学学部があり、それぞれの大学学部は各県の教育委員会と密接に連携をして教員養成を行っています。つまり我々は地域密着で人材育成機能を担っており、教員養成機能をどこかに集約するということは必ずしもそれぞれの県にとって有益な方法ではないということです。各県にはそれぞれの教育の課題があり、課題に密接にリンクしながら各教員養成系の大学学部が人材育成を行っていく。各大学が地域に密着しながら連携をすることが、今後の厳しい時代を乗り越えていくことにつながっていく、というのが我々の考え方です」。連携教職課程を作るということは、他大学の教職養成授業を自大学の授業として学生の卒業要件に組み込めるという教育上の特例を実現するということだ。そのために当時必要となったのが「大学等連携推進法人」の枠組みだ。そこで四国5国立大学で「四国地域大学ネットワーク機構」とい■四国5国立大学間において、特定の教科について「授業科目」の一部共有が可能となった。他大学開講の授業、連携大学共同による新規科目、専概要門性に富んだ外部講師を招聘し学びを深める科目等を通じて、単独大学の教育リソースだけでは為しえないカリキュラムを展開。免許種美術(中・高一種)家庭(中・高一種)構成大学 開設免許種情報(高一種)理念(1)教職課程の豊富化■幅広い領域をカバーする教員組織■他大学との連携による一層幅広い授業の提供■大学を超えた魅力ある合同授業の実施狙い ・ 効果■四国地区の5国立大学が広域的に連携することにより、教職課程の魅力化、高度化を実現四国地域における一層厚みのある教員養成の実現を目指すコンセプト 分散協働型の広域連携(2)教職課程の特色化■連携大学共同による新規科目開設■四国の文化・地域性を活かした科目開設■地域の活性化に貢献する授業開設う組織を設立し、「大学等連携推進法人」の認定を目指した。以下がその流れだ。・2019年「大学等連携推進法人(仮称)設置を検討する委員会」設置・2020年「大学等連携推進法人」認定と、連携教職課程の設置に向けた検討組織として、各準備委員会とワーキンググループを発足・2021年3月「四国地域大学ネットワーク機構」設立・2022年3月 同機構の「大学等連携推進法人」認定(図2が取材当時の体制)大学等連携推進法人の認定は、山梨大学と山梨県立大学が設立した「大学アライアンスやまなし」に次いで全国2例目。都道府県を超えた連携としては初めての事例だ。この認定ののち、連携教職課程の具体的な科目と運用の審査の過程があり、2022年11月に正式に連携教職課程が認定された。「大学等連携推進法人の枠組みは、制約を乗り越えて、大学間の教育リソースを柔軟に活用するための必要条件だった」と佐古学長は振り返る。今回の認定では、教職課程の中でも特に幅広い教育が必要とされていた美術、家庭、情報の3教科に絞って連携がスタートする。(3)学生間交流の活性化■大学間の学生交流によるコミュニケーション能力の育成・向上■同じキャリアを目指す者同士の人間関係の構築や切磋琢磨による学生意識の向上 魅力ある教職課程の実現教師を目指す学生が四国に集まる「教員養成は四国から」四国5国立大学による連携教職課程 ─教員養成は四国から─図1 四国地域大学ネットワーク機構の概要構成大学徳島大学、鳴門教育大学、香川大学鳴門教育大学、香川大学、高知大学鳴門教育大学、香川大学、愛媛大学、高知大学リクルート カレッジマネジメント236 │ Apr. - Jun. 2023

元のページ  ../index.html#73

このブックを見る