(※2) H30.2.21中央教育審議会大学分科会 将来構想部会(第13回)資料 75学長のリーダーシップが大きな役割を果たす目指すのは、魅力ある教職課程の確立。キャッチフレーズは「教員養成は四国から」なく、そこに相乗効果が生まれることが重要だ、という指摘を頂きました。まさにその通りで、これまでになかった専門家同士の対話や、新たな教育内容の可能性が動き始めていることをうれしく思っています」。このように四国の連携教職課程では他大学との連携がいい形で動き始めている。だが新しいことを始めるときには必ず反発も起こる。今回の連携でも、はじめの頃は授業の負担が増える印象が強く、教員の反応も様々であった。「特に今回対象にした美術科や家庭科では、実技の授業をどのように開講できるか等、具体的な授業実施に関して、現場の教員の方々はなかなか大変だったと思います」。こうしたときに、新しい施策を力強く前に推進するにはどうしたらいいのか。佐古氏は3つの方策が大事だという。「1つ目は教育上の理念を教員にしっかり理解してもらうこと。今の教育課程のままでは将来的に教育の幅がどんどん狭くなるので、協働することで幅を広げていきましょう、と語っていくということです。2つ目には、授業を担当する教員に、現実的なインセンティブをきちんと手当てしていくこと。そして3つ目は、各大学の学長がリーダーシップをとって推進していくことです。実は今回この連携が実現できたのは、5大学の学長間のコミュニケーションが密であったことが非常に大きいと思っています。学長達は普段から1年に3~4回は会っていて、今回の教職のテーマに限らず、四国の課題について率直な意見を語り合ってきました。このような関係性の中で、各大学の学長がリーダーシップを取って進めていかなければいけない、というコンセンサスのもとで動いていたことは大きかったですね」。2020年からはコロナ禍でなかなか直接対話ができなくなり、会議のあとの懇親会や雑談がなくなったことによる弊害もあった。「準備委員会等で各学部長等の方々と話をしますが、会議では型通りの話しか出ません。そのあとの雑談で、『実は……』と様々な話が出てくる。そこでコミュニケーションが取れ、『この話題は反対意見がでるかもしれない』とか『この(※1) 進学総研サイト「他校との共同で挑む教育学部のバージョンアップ/宇都宮大学・群馬大学 共同教育学部」https://souken.shingakunet.com/higher/2022/04/post-3268-3.htmlhttps://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/042/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/02/23/1401754_07.pdf話題はこの場に挙げていいものか』が分かる。オンラインではそういった会話ができないので、そこはちょっとやりにくかったところはありましたね」。新しい施策の推進には、トップの強いリーダーシップと、様々な形でのこまめなコミュニケーションは大事な要素だと言えそうだ。連携教職課程が目指すのは、教員を目指す学生達に対して、より質が高く、幅の広い科目を提供し、より良い教員養成を実現することにある。学生にとっては教員免許を取るという目的だけで見ると、一見、どの大学に行っても同じに思えるという部分もあるだろう。四国はこの連携によって、同じ教員免許をとるなら四国が面白い、ということをアピールしていく方針だ。「四国であれば、こんなに魅力的な授業、多様な専門領域がたくさんあり、良い先生になる道が開かれていますよ、ということを、大学連携のメリットとして伝えていきたいと思っています。キャッチフレーズは『教員養成は四国から』。他地域からの学生も、教員を目指すなら四国で学んでみようと思ってもらえるように、魅力を発信していきたいと考えています」。四国以外の地域からの入学志願者が増えることが大きな目標だが、まずは新しい連携科目によって「四国の教職課程の授業は面白い」といった声をどれだけ聞けるか、またSNS等でどれだけ発信されるかといった、学生達の反応を大切にしていきたいと佐古氏は語る。入学した大学にとどまらず、四国全体が「学ぶフィールド」になる連携教職課程。豊かな教員養成に力を入れるための四国5大学の柔軟な連携のあり方は、大学の魅力発信の新しいモデルになりそうだ。リクルート カレッジマネジメント236 │ Apr. - Jun. 2023(文/木原昌子)
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