77建学以来のDNAを継承する「臨床の知」工学とのかけ合わせで新たなニードを切り拓く2005年の共学化を機に、教学理念も「自立・共生・臨床の知」に一新した。「臨床の知」とは、学生が現場に出て大学の教育研究を社会課題と結びつけて解決を図るというもので、社会に有為な学生を育てるという建学以来のDNAを継承したものだ。この「臨床の知」が、改革の教育効果として実りつつある。「本学の学生は、自分が社会課題に対してどう解決できるかを考える傾向が強く、PBLを通じて課題に取り組む素養が涵養されている。実際に地域に出て活動しているからこそ、リアルな経験、世代を超えたコミュニケーションを通して、自分の考えを組み立て堂々と発信する力が身についている。これは橘ブランドと胸を張れる」(日比野学長)。また工、経済、経営の3学部クロスオーバー教育を文理横断教育の例に挙げ、この全学展開が今後の課題だという。研究面でも「情報工学科を得たことで、全ての学問分野にデータサイエンスを応用できるように育成したい。今後は看護や救急救命との医工連携等、政策的な学部連携を進めて、橘の新たなブランド価値を創出していきたい」と語る。さらに教育未来創造会議の構成員を務めた自身の経験から、デジタルリテラシーの全学的底上げと、複眼的な視野を持つ「総合知」を涵養する教養教育課程を作り、DXの遅れという日本の課題解決に取り組みたいと気概を見せた。2023年4月、健康科学部の心理学科を学部へと独立させた総合心理学部が誕生した。心理学の総合性と文理融合科学の特性を高らかに謳い、データサイエンススキルを全学生に身につけさせる新学部だ。第3次マスタープラン(2023-27)も始動し、これからも時代のニードとのかけ合わせで新しいものを切り拓いていく、と日比野学長。既に工学部にデジタルメディア系の学科とロボティクス系の学科、健康科学部に臨床工学系の学科と、3つの新学科を構想中だと明かしてくれた。「これらは全部工学とのかけ合わせ。それぞれの場にふさわしいテクノロジーを用いて、私達の健康や生活をより豊かにする学科を作っていきたい」と意欲を示した。(文/能地泰代)2023年4月開設の総合心理学部により、9学部15学科に国際英語学科日本語日本文学科歴史学科歴史遺産学科児童教育学科総合心理学科経済学科経営学科情報工学科建築デザイン学科看護学科理学療法学科作業療法学科救急救命学科臨床検査学科図2 工学部、経済学部、経営学部の3学部合同PBL型の授業による文理横断教育図3 タグライン『変化を楽しむ人であれ』を高校生に効果的に伝えるコンセプト『予想外にいこう。』(大学ホームページより)図4 「つながりと実践」をコンセプトとしたアカデミックリンクス図1 学部学科構成国際英語学部 文学部発達教育学部総合心理学部経済学部経営学部工学部看護学部健康科学部
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