学ぶと働く78『学び合いプロジェクト』から生まれた「ピアサポーター」ピアサポーター研修やサポーター団体の交流活動にも注力成城大学が、学園創立100周年に当たる2017年から取り組む「学生による学生のための学習支援団体」であるピアサポーターの活動が、JASSO(日本学生支援機構)の調査報告書で学生支援の取り組みの先進事例として取り上げられる等、注目されている。杉本義行学長は、2015年に「学び合いプロジェクト」の構想を始めた背景をこう語る。「大学の使命は、学生が成長でき、その成長を実感できる学習環境を提供して、自立的な学習者を育てることだというのが私の考えです。学習環境として重要なのは、いわゆる物理的な環境だけでなく、何を学ぶか、誰と学ぶかといったことです。この観点で、学生の能力を高め、学ぶ意欲を醸成し、自立的な学習者を増やすことを学び合いに期待しました。また本学には学園内からの入学生が全体の10%ほどいますが、その学生達のコミュニケーション能力が非常に高い。この学生の資質と、『学び合いプロジェクト』とに親和性があるという判断もありました」。成城大学の学生支援の特徴は「教職学協働」。教・職だけでなく「学」すなわち学生も協働するのだ。それは「ピアサポーター」という現在の名称にも表れている。「学習面をサポートする学生は、一般的には『ピア・チューター』と呼ばれます。しかし『学び合いプロジェクト』の中で学生達から、チューターには何かを教えるイメージがあるため、自分達の名称とするのはためらわれるという声が上がりました。確かにこの活動は、『教える』とは少し違って、『自分の中で答えを見つけていくことをサポートする』ものです。そこで、学習面をサポートする制度自体は『ピアチューター制度』としつつ、サポートする学生は『ピアサポーター』と呼ぶことにしました」(杉本学長)。既に活動していたサポーター4団体(「キャリアサポーター」「国際交流サポーター」「ライブラリーサポーター」「バリアフリーサポーター」)に、「ピアサポーター」が加わった5団体のサポーターには、今年度、のべ約450人が登録しており、そのうちピアサポーターは37人。現在の活動の大きな柱が、授業の中に入って、教員のもとで学生をサポートする「授業サポート」だ。杉本学長は、コロナ禍で急増したオンライン授業でその効果をはっきり見ることができたという。「例えばブレイクアウトルームに分かれた時に全員がカメラオフにして画面が真っ暗ということもあります。そんな時に学生がファシリテーターとして声がけすることで、グループの対話が活性化するといった事を聞きます。教員からは『非常にありがたい』と評価が高く、授業が対面になっても引き続き利用する教員が多いのに加え、評判を聞いて導入する教員も増えています」。ピアサポーターに対するコーチングやファシリテーションの研修が充実していることや、サポーター団体同士が交成城大学 学長杉本義行 氏39をつなぐ成城大学教職学協働で自立的な学習者を育む学びのコミュニティー
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