79国際教育、理数系教育、情操・教養教育からなる学園の「教育改革三本柱」徐々に広がりつつある自主活動流するSupporters’ Forumを毎年開催していることも、成城大学のピアサポーター活動が注目され、評価されているポイントだ。Supporters’ Forum開催のきっかけは、サポーター団体間において、学内でもお互いの活動がよく分からないことだった。活動内容はそれぞれ違ってもサポートするという意味で共通の問題や悩みを、5団体が一堂に会して出し合い、解決する場にしようと、ピアチューター制度が始まった2017年に第1回を開催。さらに、他大学にも参加を呼びかけ、第2回からは全国の大学・高校のサポーター学生が参加するイベントとなっている。2017年に学園全体で定めた、「成城学園第2世紀プラン」の一環に、国際教育、理数系教育、情操・教養教育からなる「教育改革三本柱」がある。その中でピアサポーターを含むサポーター活動は、学び合い助け合う情操教育として、「情操・教養教育」の柱に位置づけられる。「国際教育」には、IELTS・TOEFL(R)対策や異文化理解プログラムなどで海外留学を支援するSIEP(成城国際教育プログラム)。「理数系教育」には、文系大学でありながらかなり早い時期に、全学共通教育科目として設置されたデータサイエンス科目群。これらを合わせた三本柱によって、地に足をつけて自立的な学習者を育成していく構えだ。「大学での学びと、社会での学び方とが共通しているとすると、教室での学習経験をリフレクションしていくところが大切なので、そのリフレクションをもう少し体系的に学んでいく場をつくることが必要だと思っています」と杉本学長は語る。サポーター活動をしている学生が自立的・主体的な学習者になったか、定量的な成果の可視化は今のところできていない。「ただ、定性的には、1年生のときには心配だった学生でも、サポーター活動を通じて驚くほど変わっていくのを目にして、効果を強く感じています」と杉本学長は言い、学生達の学び合いが、少しずつだが大きく広がってきたことも実感しているという。「例えば、2018年度から『時間割相談』という活動が始まり、2022年度は5日間で500件以上の相談を受けました。これは大学からの依頼ではなく、時間割をつくるのが大変なのでそのサポートが必要だと、ピアサポーターの中から出てきた自主活動です。こういう活動を、もう少し広げたいですね」。最後に、約5年の取り組みを経た今、どのように未来を見据えているか、そこに向けての課題などを尋ねた。「本学はずっと昔から、学園全体で『個性尊重教育』を重視していますが、今、個性・多様性を尊重しながらも合意形成をしていく力が、色々なところで求められていると考えています。ですのでまず1つは、そのための科目をもう少し増やすこと。もう1つが学部横断的なプログラムの強化で、その中に地域や企業といった学外との結びつきや、高大連携等も上手く組み込めればと思っているところです」(杉本学長)。(文/松村直樹 リアセックキャリア総合研究所)学生相互の学び合い・教え合いを通じて、学生が懸命に学び、自らの学習スタイルを確立し、自立することに寄与し、教育の質の向上と維持を図ることを目的としています。データサイエンス教育(Seijo International Education Program)国際教育SIEP理数系教育情操・教養教育サポーター制度全学共通教育科目〜成長を実感できる上質な学習経験を提供し、自律的な学習者を育てる〜ピアサポーター国際交流サポーターバリアフリーサポーターライブラリーサポーターキャリアサポーター※成城学園全体の取り組みである「成城学園第2世紀プラン」の一環です。成城大学 教育改革三本柱※
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