カレッジマネジメント237号
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10リクルート カレッジマネジメント237 │Jul. - Sep. 2023アーキテクチャ一方、2021年にデジタル臨時行政調査会は、全ての規制や制度をデジタルという横串の観点から見直すという方針を打ち出した(図2)。未来社会のインフラであるデジタルによってあるべき姿と現状のギャップを把握しようとする動きだ。ここで出てきた原則のなかでも象徴的なのは、「アジャ改革を通じて実現すべき価値 デジタル社会を形成するための基本原則: ①オープン・透明 ②公平・倫理 ③安心・安全 ④継続・安定・強靭 ⑤社会課題の解決 ⑥迅速・柔軟 ⑦包摂・多様性 ⑧浸透 ⑨新たな価値の創造 ⑩飛躍・国際貢献構造改革のためのデジタル原則・書面、目視、常駐、実地参加等を義務付ける手続き・業務について、デジタル処理での完結、機械での自動化を基本とし、行政内部も含めエンドツーエンドでのデジタル対応を実現すること ・国・地方公共団体を挙げてデジタルシフトへの組織文化作りと具体的対応を進めること一律かつ硬直的な事前規制ではなく、リスクベースで性能等を規定して達成に向けた民間の創意工夫を尊重するとともに、データに基づくEBPMを徹底し、機動的・柔軟で継続的な改善を可能とすること。データを活用して政策の点検と見直しをスピーディに繰り返す、機動的な政策形成を可能とすること公共サービスを提供する際に民間企業のUI・UXを活用する等、ユーザー目線で、ベンチャー等民間の力を最大化する新たな官民連携を可能とすること官民で適切にデータを共有し、世界最高水準のサービスを享受できるよう、国・地方公共団体や準公共といった主体・分野間のばらつきを解消し、システム間の相互運用性を確保することID、ベースレジストリ等は、国・地方公共団体や準公共といった主体・分野ごとの縦割で独自仕様のシステムを構築するのではなく、官民で広くデジタル共通基盤を利用するとともに、調達仕様の標準化・共通化を進めることデジタル社会の実現に向けた重点計画(2022年6月7日)25Pより編集部作成イルガバナンス原則」だろう。事前に決めたレール通りに走っているかをチェックする仕組みではなく、トライアンドエラーを繰り返して柔軟・機動的な改善や政策形成を可能とするためのガバナンスである。これをそのまま当てはめるなら、既存の大学経営は大きく転換することになる。教育自体も、教員が1つの真理を持ち、それを子ども達に教授するのではなく、子ども達が持つ問いに対するアプローチとして、教員がフラットに状況を見極め、自分にはない知見も含めて他人の力を上手に借り、時に年少者に学び協働していくということであり、即ち「『他人のふんどしで相撲をとれること』『出藍の誉れを誘発し、歓迎すること』こそが求められているとも言える」と合田氏は述べる。このように、デジタルは人々の知的営みそのものの在り方を変えるポテンシャルを持っている。デジタル完結・自動化原則原則② アジャイルガバナンス原則 機動的で柔軟なガバナンス原則③ 官民連携原則 GtoBtoCモデル原則④ 相互運用性確保原則原則⑤ 共通基盤利用原則図2 デジタル原則第7層新たな価値の創出第6層業務改革・BPR/組織原則① 第5層ルール第4層利活用環境第3層連携基盤第2層データ第1層インフラデジタル臨時行政調査会デジタル原則政策のキーポイント5デジタルの観点から既存制度を全て見直し2021

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