カレッジマネジメント237号
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1日本の未来社会から2スキルではなく16リクルート カレッジマネジメント237 │Jul. - Sep. 2023できることの組み合せで教育を設計するのではなく、新しい未来社会を世界に先駆けて作っていく思想で生まれた第5期科学技術基本計画の意図をどう汲むか。特に教育設計において、プロダクトアウトから、よりマーケットイン型に思考をシフトする必要があろう。小誌236号で、サステナビリティ経営に詳しい関 正雄氏は、SDGsへの企業戦略を価値につなげるための方策として「アウトサイド・イン」の思考が有効だと述べている(※3)。将来の到達点をまず先に描き、そこから自社が現状とのギャップを認識し、そのギャップを埋めるために何に対して力を発揮できるのかを考える。起点を「将来像」に置くことで、こうしたバックキャスティングが可能となる。そしてこうした視点を置くには、未来社会像をある程度の解像度と当事者意識で描く必要がある。貴学にとっての将来像とは、どのような社会におけるどのような状態だろうか。合田氏によると、経産省商務情報政策局長を務め、『DXの思考法』を著した西山圭太氏は、DXの本質は手段としての有効性ではなく、具体的な事象を抽象化して論理的に思考することで、あらゆる縦割りを越えた横割りのレイヤー構造のなかで価値を創出することであり、その抽象化という思考法こそが真髄であると指摘した。まさに、こうした以上の政策の流れを踏まえ、大学教育における検討観点を整理したい。高等教育機関における検討の観点・論点バックキャスティングで発想する思考とスタンスを涵養する教育

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