カレッジマネジメント237号
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4社会的価値を創造する教育3教育機関主体ではなく17総力特集 未来をつくるデジタル人材と教育物事の捉え方自体を変容させるだけのポテンシャルがデジタルにはあり、そうした態度を教育により全国民が身につけることが、Society 5.0実現には必要だ。教育未来創造会議の第一次提言でも、高等教育にはリテラシーをはじめとする、デジタル社会での教養の修得を確実に行うことを求めている。大学教育の方法がデジタルであるかどうかではなく、社会的価値を生み出すプロセス自体に学問をシフトできているかどうかが肝だ。デジタル社会の新しい社会像を作れなければ、日本はつぶれるという危機感に裏打ちされた政策動向を見るに、「日本をつぶさないために本学は何ができるか」という大きな視点での設計が経営者には求められている。デジタルだからデジタルの専門家がいなければできない、ではなく、経営者自身が抽象化して物事を捉え、レイヤー構造のなかで横断的に価値を創出する発想ができて初めて、専門家としてのデジタル人材が生きるのである。「データサイエンス系の学部が増えることは次代にとって重要な選択ですが、学部を作って終わりにせず、DXの思考法で全学をリードするセンターとして機能するようにしてほしい」と合田氏は話した。今回は取り上げなかったが、2018年の「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」で示されたように、これからの社会を担う人材を思えば、教える側の都合ではなく学び手側が自らの軸足で設計した個別最適化された学び、そして教育成果ではなく学修成果に軸足を置いた教育設計が望まれるのは、新課程の設計でも明言されているところだ。教育未来創造会議の第一次提言でも、デジタル社会における「初等教育の充実」として、自らの問いや課題を軸にした「個別最適な学び」「協働的な学び」を一体的に行い、「揃える教育」から「伸ばす教育」へと転換する必要性を問うている。こうした子ども達が高等教育段階に進んだとき、そうした学びを伸ばす教育を展開できているだろうか。高等教育機関の教育規模で個別最適化を実現するのに、デジタルによる教育状況や成果の可視化が必須なのは、今や共通認識化されている。問題はそうした措置を講じたうえで、3つのポリシーに即した成果が学修者目線で可視化されてくることである。また、今まで供給者側の都合で設計されていた教育を、学修者を主語にした学びに変換していくことが必要だ。大学が考えるべきは、経営がやりやすい形の教育設計ではなく、学修者がSociety 5.0を生き抜くために必要な学びの提供である。見てきたように、デジタル化は社会像と密接に関係する。従来の工業化社会をデジタルでどう作り変えるのかを見据えれば、一つひとつの教育においても、社会的価値をどう創出するのかに力点を置いたチューニングは必然と言える。教員の個人的なつながりに依存する形式的な連係ではなく、実質的で組織的な産官学連携のもと、互いにリソースを出し合って、地域社会にとっての価値を創出していくスキームの構築に、大学のアセットや場をどのように活かすことができるか。既存の枠組みの中で実学かそうではないかに関係なく、この学問を学ぶことで社会にどのような価値を創出できるのか、日本社会におけるイノベーションを担うのかを議論する必要がありそうだ。リクルート カレッジマネジメント237 │Jul. - Sep. 2023学修者主体の教育

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