カレッジマネジメント237号
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23総力特集 未来をつくるデジタル人材と教育また、アメリカでもヨーロッパでも、金融機関やメーカー等、いわゆる事業会社が、自社のデジタル環境を変革していくために、自社内でSEを雇用する傾向が増えてきています。吉武 坂村 健先生(東洋大学情報連携学部長・工学博士)が『DXとは何か』という本を出されていますが、その中で、アメリカでは社内でシステム開発できる企業が50%、日本は10%未満と書かれています。行政分野でも、IT部門の職員比率がシンガポールでは7%、ニューヨークやパリは1%程度、東京は0.3%。つまり日本では、企業でも自社で開発ができない、行政ではそもそもITを推進する人材すらいないという状況です。新しいビジネスが日本から出てきていない、DXの推進とデジタル人材の育成が急務だ、と盛んに言われており、経済産業省も「順当に行っても2030年にIT人材が45万人足りない」と発表しています。しかし、そこでのIT人材というのは、どういう人材のことを意図するのでしょうか。既存のIT技術だけでなく、AIやデータサイエンスに関わる人材も含めて、どういう人材が必要なのかをきちんと・言語化されていない顧客の感情を感じ取れる・なぜ顧客がそう感じるのか想像できる顧客の感情が分かるデジタルが分かるビジネスが議論し、どう育てればその人達が社会で活躍できるのか、評価されるのかも含めて考える必要があると思います。小林 今、吉武先生から「デジタル人材」とはどのような人材なのかというお話が出ました。石原さんは経済産業省の「デジタル時代の人材政策に関する検討会」の委員として、「デジタルスキル標準」の策定にも関わっていましたが、そのあたりはいかがでしょうか?石原 技術やビジネスの進化のスピードは速いので、デジタル人材の要件というのは、瞬間を切り取ったものでしかないでしょう。3カ月後には変わっているかもしれないというぐらい、変化の激しいものだと思います。だからこそ、「最新のデジタル技術を知っている」「そのデジタル技術で、何ができるのかを考えられる」ことがデジタル人材には必要だと思います。それは、大規模言語モ・最新のデジタル技術を知っている・その技術で何ができるか分かっている分かる・自社の業務プロセスを分かっている・「価値を生む仕組み」が分かっているデジタル・ビジネス・顧客感情を理解したうえで、ビジネスにおける変化を生み出せるのが今必要なデジタル人材デジタル人材とは変化を生み出せるデジタル人材とは、果たして何者なのか?

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