24デルを作れなければいけないとか、技術的な面で自ら手を動かせなければいけないというわけではありません。私がいつも不可欠だと言っているのは「顧客について、感じ取る力」。顧客というのは、必ずしもエンドユーザーだけでなく、社内で連携する人も含めた捉え方です。顧客の感情を察知する観察力と、その理由は何だろうと考える想像力。デジタルとは一見関係なく思えるかもしれませんが、実は問題解決のためには、そこが最も大事な力だと私は思っています。小林 非常に分かりやすいと思います。大学の受け止め方はいかがでしょうか。吉武 やはり今の若い世代にとっては解決困難な問題が山積するなか、諦めずに社会で活躍するための武器として、3つのことが必要だと思うのです。1つは諦めずに変革していくのだというマインド。2つ目は業務を熟知し、何を変えれば良いかを提言できること。3つ目として、その変革を実現するための最先端のデジタル技術を分かっていること。社会に出て、また新たにその武器を磨く必要があったなら、大学や大学院で学び直せばよいと思います。石原 まさに「今必要なスキルが手に入る大学」なら、誰しも行きたいと思うわけですよね。もっと学習者の絞り込み等、戦略的にならなければいけないと思います。吉武 学習者ももっと明確に目的意識を持つべきだし、大学もどのような教育がキャリアアップにつながるのかを考えないといけない。企業は大学に対して厳しく要望してほしい。そこにコミュニケーションがなく、個人と、社会の現場と、大学が接続されていないのです。小林 では18歳で入学する学生へのデジタル教育について、課題に感じることはありますか?石原 若い世代は圧倒的にデジタルとの親和性が高いですよね。大学ではレポートを書くうえでChatGPTの使用は禁止という方向性もあるようですが、今後私達は、あのようなツールを使って生きていくことは必至。ビジネス界では使いこなしながら進化しようとしています。論文においてもツールを活用し、AIと対話しながら素晴らしいものを書けるのが最も良いでしょうし、ChatGPTにどのような質問デジタルの重要性や社会の変化のスピードを踏まえた最適な教育を構想したとき、学部間の垣根を下げ、内外の人材が協働することが不可欠です。(吉武)新しい人にとって、新しいテクノロジーはもはや所与。最先端の技術を使って優れた成果を出すことにもっと真剣に取り組むべき。(石原)大学は、企業は、社会は、デジタル人材育成のためにどうあるべきか?
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