カレッジマネジメント237号
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30デジタル技術と経営学の両方に長けた人材を育成3つの学科ごとに特徴あるカリキュラムを構成文理横断・文理融合教育の推進が言われる中、先んじて1993年に理工系総合大学として初めて経営学部を設置し、30年にわたり科学的アプローチによる経営の理論と技法の研究・教育に邁進している東京理科大学。近年は、2016年にビジネスエコノミクス学科を、2021年に国際デザイン経営学科を設置し、デジタル分野の知識・技術を備えた企業経営に資する人材の育成に注力している。それらの取り組みと今後の方向性について、椿 美智子経営学部長に伺った。理工系総合大学であるからこそ持つ知識の体系を生かして、理学と工学、情報学の知識に基づいた数理的・実証的アプローチを積極的に活用し、文系・理系の枠組みを超えた新しい視点に基づく経営の理論と技法を研究・教育する学部として1993年に開設された経営学部。当初は経営学科1学科での構成であったが、2016年には、ビッグデータをビジネスの視点から素早く分析し、企業の意思決定に活用できる力を培うビジネスエコノミクス学科を、2021年には、先の見えない時代の複雑な問題をデザインの観点からデジタル技術を駆使して課題を解決する力を培う国際デザイン経営学科を開設。「時代や技術の変化をキャッチアップし、情報理工系のアプローチを生かした新しい経営学を構築・創造している」と椿学部長は話す。「AIやVR、AR等、ハイスピードで開発され続けている技術を海外の企業は積極的にビジネスに利用している。このDX時代に成功するビジネスを推進することができるのは、これらの技術と経営学の両方を理解している人材であると考え、デジタル人材の育成を目標の1つにしている」と続ける。例えば、昨今重視されているデータサイエンスに関しても「既存の理論や方法を活用できるだけでなく、新たな応用展開を牽引し、経営学に発展できるように教えている」(椿学部長)という。学部として育成を目指すのは、「経営の諸問題や企業が取り組むような社会課題を自ら俯瞰・発見・解析することができ、その解決方法を創出・選択できるような主体性、自立性、共感性を持った人材」であるが、「各学科で目指す人材像は微妙に異なり、カリキュラムもそれらに合わせて学科ごとに構成している」(椿学部長)という。具体的には、経営学科では、経営を俯瞰して戦略を立て、解析によって実証しながら科学的経営のできる経営のプロフェッショナルの育成を目指す。そのために、経営戦略や会計、ファイナンス、マーケティング等の知識をバランスよく学びながら、数学や統計学、プログラミングスキル等も鍛え、本質を捉えたうえでの解決策をデータによる検証分析から経営学部長椿 美智子 氏Case Studies●事例Society 5.0を担うデジタル人材の育成データドリブン社会の到来に向けて、文理の壁を越えて、新たな時代を担うデジテル人材を育成しようとする3つの大学の取り組みを取材した。CASE1文系・理系の枠組みを超え、科学的アプローチで経営課題を解決できる人材を育成東京理科大学 経営学部

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