カレッジマネジメント237号
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39総力特集 未来をつくるデジタル人材と教育出したのです。分析が合っているか知りたい、と言って、市役所や地元企業への取材も行い、政策アイデアコンテストにも出場して賞を取って。他の講座も含めて、その分野に興味のある仲間で集まり、互いに高め合える環境だったのも良かったのだと思います」(新氏)。STEAM特別講座、及び長年のSSHの知見を生かした探究活動・課題研究は、生徒の思考力を高めることにも一役買っている、と探究担当の傍士知哉氏は言及する。「文系の生徒の探究活動でも、コンピュータで統計データの分析やテキストマイニングを行い、科学的な実証まですることが増えました。生徒に対する意識調査でも、1年次と3年次を比較すると、『分析力』や『課題発見力』の項目授業授業デジタル環境が充実したSTEAM教室同校は「批判的思考力」の向上にも力を入れている。批判的思考とは、次の3つの要素からなると定義。①知識……考える対象に関する知識、論理学の知識等②スキル……知識を使いこなす技術(練習で磨ける)③態度……他者や自分を批判的に捉えようとする態度これらを高めるために、生徒が論理や論証の基礎を学び、討議や論文作成を通して批判的思考のレッスンも重ねる、という国語の授業を行っているのだ(理数科は学校設定科目「科学を考える」、普通科は「現代の国語」「論理国語」で実施)。そこで鍛えた思考力が、探究活動や課題研究にも生かされる。理数科の課題研究や、普通科の探究活動は、生徒が「仮説形成→検証→実験→考察→発表」のプロセスに則って課題発見・解決に向かえるように後押し。また、コンピュータを使った分析やクラウドのデータの協働編集等、デジタルツールの活用も促す。そうしたサポートを全教員で担えるよう、指導や助言のポイントを共同検討する職員研修会も実施。教育企画部長の鵜飼義人氏は「SSHやSTEAMの方針を理解して協力し合う体制が整ってきた」のを感じているという。で大きな伸びが見られるのです」。その成長に手ごたえがあるからこそ、大学入試では「生徒の探究心や思考力の面もぜひ評価してほしい」という。「本校の生徒のことは、以前は『まじめで一生懸命勉強するが、ちょっと大人しい』と思っていました。ですがそれは、踏み出すチャンスをもたらせなかった学校の責任でもあったと今は感じています。好奇心を刺激し、科学的思考やテクノロジーも使って学ぶ場があると、生徒はどんどん伸びていく。そう実感しましたから。今後も、生徒の中に潜在的にあるものを発掘して伸ばすような取り組みを広げられたらと思っています」(新氏)。課外課外地域デザイン講座でデータ分析に挑戦特別講座1年目はSTEAM(Science、Technology……)の頭文字に沿って講座を開設、理系寄りだった。2年目からはそこに縛られず「ワクワク」をキーワードに幅広い講座を開設(詳細はホームページで確認できる)。文系の生徒も参加しやすくなり、各自が興味ある分野で科学的思考やテクノロジーを使いこなす学びに進化した。STEAM特別講座については、生徒がオンラインの仮想空間で学びの成果を発表する機会(STEAMデー)や、生徒が講師役となって地元中学生にも体験してもらう機会(STEAMオープンデー)を設けている。現STEAM担当の谷口正明氏は、昨年度は3年生の担任を務め、「特別講座に熱中した生徒達が学校推薦型選抜でも力を発揮した」のを体感したそう。好奇心を持って学び、アウトプットもしていくこの活動で、生徒の力をさらに引き出したいと考えている。プログラミング×電子工作の講座アプリで絵本制作する「かがくえほん講座」(文/松井大助)国語の授業で批判的思考力を磨く探究活動や課題研究で仮説形成・検証・実験好奇心に火をつけるSTEAM特別講座STEAMデーで学びの成果を発信

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