カレッジマネジメント237号
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4 高校情報科の科目の変遷3 情報活用能力41総力特集 未来をつくるデジタル人材と教育【現行学習指導要領】越した内容が盛り込まれる。ご存じのように、最近の情報技術の進展には著しいものがあり、社会への影響も大きなものがある。次の10年でこれがどのくらい変化するかは、正直なところ誰にも分からないといってもよいだろう。文部科学省は、学習指導要領等の改善に関する中央教育審議会答申(2016.12)のなかで、「今、学校で教えていることは、時代が変化したら通用しなくなるのではないか」「人工知能の急速な進化が、人間の職業を奪うのではないか」と述べ、「予測できない変化を前向きに受け止め、主体的に向き合い、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となるための力を子供たちに育む学校教育の実現を目指す」としている。これが新しい学習指導要領の根底に流れる考え方といってよいだろう。今回の学習指導要領改訂では、言語能力や問題発見・解決能力に加えて、情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」の1つとして位置付け、全ての教科等で育むべきものとした。中央教育審議会答申(2016.12)では、情報活用能力を「世の中の様々な事象を情報とその結び付きとして捉えて把握し、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり、自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力」と定義し、発達段階に応じた体系的な指導が行われるようになった。情報A情報B情報C情報活用の実践力重視情報の科学的理解重視情報社会に参画する態度重視【教科設置当初】3科目から1つ選択図1 情報科の科目の変遷(学習指導要領改訂を踏まえて筆者作成)【旧学習指導要領】2科目から1つ選択20%情報の科学社会と情報80%※産業教育についてはより専門的な科目群で構成される専門教科情報科を設置 例えば、小学校では、日本語入力を第3学年のローマ字の指導の際に習得するよう定めている。プログラミングは第5学年の算数の図形において正多角形の作図を行う学習や、第6学年の理科の物質・エネルギーにおいて、電気の性質や働きを利用した道具があることを捉える学習に関連して取り扱っている。これらの学習が中学校技術・家庭科技術分野で計測・制御等のプログラミングにつながり、高校の情報科では全員が問題の発見・解決のためのプログラミングに取り組むことになる。情報デザイン、プログラミング、データの活用に関して、発達段階に応じて取り組む内容を表1に示す。高校情報科は表1に示した小学校からの学習の積み上げの上に立って、従来と比較して高度な内容に改訂された。この教科は2003年から実施されているが、情報技術の進展や社会の変化の影響を受けて科目構成が学習指導要領改訂の度に変化している。これを図1に示す。教科設置当初(2003)から旧学習指導要領への改訂の際は、情報活用の実践力が生徒についてきたということで、「情報A」が廃止される程度であった。今回の改訂では、2つの科目を統合して高校生全員が履修する科目としてプログラミングを内容に含む「情報Ⅰ」とし、発展的な選択科目として「情報Ⅱ」を設置した。情報の科学社会と情報全員が情報Ⅰを履修発展的選択科目を設置発展的選択科目共通必履修科目プログラミングを内容に含む科目旧学習指導要領の科目選択の状況情報Ⅱ情報Ⅰ

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