カレッジマネジメント237号
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5総力特集 未来をつくるデジタル人材と教育「デジタル人材」という言葉をご存じない方はいないだろう。しかし、その内容はどの程度理解されているだろうか。昨今、毎日のように「デジタル人材不足」「デジタル人材の育成が急務」といった表現や報道を目にする。岸田内閣は、「専門的なデジタル知識・能力を有し、デジタル実装による地域の課題解決を牽引する人材を『デジタル推進人材』として、2026年度末までに230万人育成」することをデジタル田園都市国家構想で掲げている。では、そもそもこうした人材が必要な社会とはどういう社会なのか。どのような資質・能力があればデジタル人材と言えるのか。現在進んでいる教育はどのような内容なのか。あるいは、その前提として、国は今後の日本をどのように変革していく方針なのか。そして、18歳人口減少や社会の複雑化等に伴い大学経営の舵取りの困難が増す中で、経営者は時代の要請にどのように対峙し、どのような教育を構想・実現すべきなのか。デジタル人材育成に絶対解はないが、「本学は日本社会の将来像において、何を担うのか」「そのためにこれまで蓄積してきたどのような価値を活かすのか」「どのように協働すればその効果が最大化できるか」「今後本学が注力すべき教育・研究領域は何か」といった観点検討において、土台となる現状認識を揃えることや、周囲の状況を知ることは必要であろう。本号ではそうした「デジタル人材」にまつわるあれこれについて、「人材育成」を軸に企画・考察した特集をお届けする。日本の目指す将来像を実現するために、そこに寄せられる期待や危機感を踏まえた改革を高等教育機関が検討するうえで、参考にしていただければ幸いである。まずはデジタル人材教育の加速が求められる背景について、政策動向を整理することから始めたい。

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