カレッジマネジメント237号
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51分散強靭総力特集 未来をつくるデジタル人材と教育技術を理解していること、②社会の変化や顧客の志向を理解していること、③ビジネス構造・業務プロセスを理解していること、である。そこで言われていたのが、文理融合、文理横断、文理複眼という観点である。今号でご紹介した大学等の事例も、若干の違いはあるものの、文理の枠にとらわれず、社会課題やビジネスの課題について、デジタル技術を活用してどのように解決していくかという大きなコンセプトの部分では共通していた。高校においても、新学習指導要領において「情報Ⅰ」が必修となり、2025年の大学入学共通テストでも導入が進められている。そうなると、基礎レベルの情報は多くの高校生が身につけて大学に入学してくることになる。受け入れる側の大学は、全学的な共通教育の内容を見直す必要に迫られる。一方、リクルートの就職みらい研究所の調査では、従業員5000人以上の3割近く(28.4%)が、2025年以降の新卒採用において、「職務限定型(JOB型)」を検討してい出典:経団連 包括提言「Society 5.0 ─ともに想像する未来─」 2018年11月13日“誰もが多様な才能を発揮できる社会”“いつでもどこでも機会が得られる社会”“安心して暮らし挑戦できる社会”“人と自然が共生できる社会”問題解決・価値創造“価値を生み出す社会”多様性持続可能性・自然共生るとのことだ。一気にJOB型に移行するとは思わないが、こうした雇用環境の変化も視野に入れておく必要もある。今後、データサイエンス等Society 5.0に必須の知識については、英語とともに新たな共通教育に組み込まれていくだろう。そのうえで、各学部については、どの領域においてもより専門性を高め、高度化を進めるとともに、専門教育×データサイエンスといった視点が不可欠となるだろう。その点においては、共通教育、学部教育の双方に、大学の個性や考え方がより強く表れることになるだろう。大学は、国が言うから、補助金が出るからという受け身な姿勢ではなく、主体的に将来を見通して各大学のミッション・ビジョンに合った人材育成を考えていく必要がある。これまでの延長線上ではなく、新たな社会を見据えた大学のあり方が問われている。狩猟社会デジタル革新(AI ×データ)想像力・創造力多様な人々の農耕社会工業社会情報社会

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