カレッジマネジメント237号
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54第一志望群に入社する学生が増加。ただし、「納得して入社」の学生は減少マス型から個別型へ。今後必要とされるキャリア支援(%)1008060402014.10もう1点、栗田氏が近年の特徴的な傾向として挙げたのが、「第一志望群の企業に入社する学生が増加傾向にある一方で、入社予定企業への入社に納得している学生は減少傾向にある」という点だ。2023年卒学生において、入社予定企業が就職活動開始当初からの第一志望群であった学生は61.5%で、前々年よりも約11ポイント、前年よりも約6ポイント増加したが(図4)、他方で、入社予定企業等に就職することに「納得している」ことについて「当てはまる」「どちらかというと当てはまる」と答えた学生の合計は72.4%で、前々年よりも約5ポイント、前年よりも約1ポイント減少した(図5)。この要因について栗田氏は、「あくまで推測だが」と前置きしながら「コロナ禍にあって自ら主体的に決めて行動した経験が少ないと感じている学生が多く、対話を通じた客観的な自己理解、仕事理解を深めきれなかったからではなないか」と分析する。「自分らしさや自分の強みは、主体的に取り組んだ経験のなかから紐解いたり、人と比べて『自分はどうだっけ?』と相対化したりして内省を深めて学生大学生 全体(就職志望者/単一回答) ※大学院生除く38.022.117.1:3月18日時点(2023年卒)いく部分がある。しかし、コロナ禍でその機会が限られてしまったために、『自分らしい選択を』と言われても何が自分らしい選択か分からず、自身の決定に対する自信のなさや不安が納得度に表れているのではないか」と栗田氏。そして、「学生が『自分らしさ』や『自分の強み』を探索し、それらを発揮できる企業・環境を探索していくプロセスは、大学が大いに支援できるところ」と続ける。学生が自分らしさや強みを知り、それらを発揮できる企業を探索するための支援として、大学は何ができるのか。栗田氏は「マス型から個別型のキャリア支援に軸足を移していく必要がある」と指摘する。「『強み』や『自分らしさ』は一人ひとり異なるため、それらを一括りにして『こういう業界にいけばこうなれる』といった話に対して、学生はフィット感を覚えなくなっている。また、就職ガイダンスも、その内容が就活のスキル・ノウハウに関するものであればあるほど、『タイムパフォーマンスが悪い』と敬遠し、YouTube等にあふれている類似の内容を倍速で見て学ぶ傾向にあ75.267.655.158.4:6月12日時点(2023年卒)44.9:5月15日時点(2023年卒)出典:就職プロセス調査(2024年卒)「2023年5月1日時点内定状況」2024年卒2023年卒82.287.191.694.52022年卒3月18日時点(2024年卒):21.016.812.111.0図3 5月1日時点の大学生(大学院生除く)の進路決定率41.528.52月1日時点3月1日時点4月1日時点5月1日時点6月1日時点7月1日時点8月1日時点9月1日時点10月1日時点12月1日3月時点卒業時点

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