カレッジマネジメント237号
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※専門活用型インターンシップを通じて専門性を判断された学生に限り、3月。いては28.4%に上るという。多くは初任配属のみを確約し、その後は職務変更の可能性も想定している「初任配属確約採用」とも言えるものと見られている。この採用形態の導入背景として、栗田氏は「専門領域の経験を積んだうえで、必要に応じて転職も含めた社外での活躍を志向する学生が過半数になってきていることを受け、企業として初任配属を確約することで内定辞退を抑止し、優秀な人材を確保したいという意向がある」と指摘する。加えて、「この形の採用が広がることで、個々の学生の大学での学びに企業が着目し、学問的な専門性のみならず、論理的思考や学び続ける力などの汎用的能力も含めて評価する動きが加速するかもしれない。さらには、それらを発揮できる仕事への配属を確約するという接続がなされるようになれば、より『学ぶ』と『働く』の接続が強化され、高校・大学・社会の接続がもっともっと生まれてきやすくなる」と期待を寄せる。「大学での学びに着目し適切に評価するという観点が企業に不足していることには大きな課題があるが、大学側もどのような情報を出していけば企業が評価、判断しやすいかという点に目を向けて一層の工夫をお願いしたい」と続ける。就業体験を必須とせず、「個社・業界の情報提供等」や「教育」が目的26卒以降、春休み以降に実施されるタイプ3の専門活用型インターンシップに限り、さらに、キャリア支援のあり方として、「大学や課外活動における学びを内省し、概念化・言語化してまた新たな場面で実行・実践するという経験学習サイクルを学生が回せるよう、大学の先生方一人ひとりが意識的に支援してもらえれば」とも期待を寄せる。「専門的な知識・スキルはもちろん重要だが、アップデートが必要になるものでもある。時代の要請に合わなくなっても、新たな環境の変化に適応できるよう主体的に行動できることや、学び続けられることが新卒学生にも期待されている。この点を意識して、ゼミや授業などにおいて、学生が自らの経験を振り返り、言語化してアウトプットする訓練を行っていくことができれば、自分らしく活躍できる職場に巡り合える可能性は高まると思う」と栗田氏。新卒就職・採用活動には多様な課題があるが、学生一人ひとりが「自分らしさ」や「強み」を見つめ、それらを発揮できる企業や仕事に巡り合えるよう支援していくことは、これからも大学・企業にも求められることであろう。この視点が失われることなく支援がなされることを期待したい。「自身の能力の見極め」や「評価材料の取得」が目的就業体験が必須 (文/浅田夕香)「インターンシップ」とは称さないタイプ1図7 インターンシップ等の学生のキャリア形成支援に係る取り組みを4つに類型化図8 26卒以降の専門活用型インターンシップの変更点タイプ3「インターンシップ」と称して実施2014年度(2015年3月)2015年度(2016年3月)2016年度(2017年3月)2024年度(2025年3月)2025年度(2026年3月)オープン・カンパニーインターンシップで取得した学生情報を、卒業・修了前年次3月以降より採用選考活動に使用できる卒業時期(卒業前年度)『2024(令和6)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について ポイント(内閣官房)』より抜粋広報活動採用選考活動(卒業年度)12月3月3月3月3月4月8月6月6月6月(※)タイプ2キャリア教育汎用的能力・専門活用型インターンシップ〇現行の日程を原則とする。〇加えて、卒業・終了年度に入る直前の春休み以降に実施するタイプ3のインターンシップのうち専門活用型インターンシップを通じて専門性を判断された学生は、3月の広報活動開始以降であれば、6月より前の採用選考活動を可能とする。〇タイプ3のインターンシップの情報開示項目に加え、学生に求める学修成果水準・専門的能力、新卒一括採用に係る採用計画を公表することを要件とする。インターンシップ(試行)2025年度(2026年3月)卒対象就職・採用活動日程の弾力化タイプ4高度専門型57

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