カレッジマネジメント237号
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58 立命館大学 学長本学は京都市に所在し、関西3府県に4つのキャンパス(朱雀、衣笠、びわこ・くさつ、大阪いばらき)を持つ、学生数3万3000人、大学院生3700人の総合大学です。西園寺 公望が1869年に開設した私塾「立命館」を創始とし、その精神を継いだ中川小十郎が1900年に設立した京都法政学校が前身で、2025年に創立125周年を迎えます。建学の精神「自由と清新」は、本学が自由な心で社会に変革を与える存在であるために、私が常に立ち返る出発点です。2019年に学長に就任し、コロナ禍を経て今年から2期目に入りました。大学では心理学を専攻し、卒業後は三菱電機で人工知能やヒューマンインターフェイスの研究に携わり、2004年に本学の情報理工学部の教員となりました。文理融合人材を自ら体現してきた経験を活かし、アフターコロナの今、本学が準備してきた改革を力強く推進していきます。2020年度に策定した中期計画「学園ビジョンR2030『挑戦をもっと自由に』」では、目指す学園像に「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を実現する学園」を掲げました。私はこのD&Iが「建学の精神『自由と清新』のベースとなる一丁目一番地」だと常々言っています。自由と清新の間を媒介するのは多様性です。本学は学生の半分が関西エリア外から来る全国区の大学で、正規留学生2600人がキャンパスで学んでいる、この多様性をまずは一番大事に考えています。女子学生数は西日本で最多です。そしてR2030の重要な取り組みとして、①新たな価値を創造する「次世代研究大学」、②イノベーション・創発性人材を生み出す大学を打ち出しました。R2020までの、ピアラーニングで学びに寄り添う「学生の主体的な学びの支援」と「研究力の向上と強化」の延長線上にあり、さらにパワーアップをしたものです。①の「次世代研究大学」では、科研費獲得件数で私大3位グループに位置する総合大学として、社会課題に取り組む文理融合研究チームを育てます。2008年からスタートした立命館グローバル・イノベーション研究機構(R-GIRO)では、開始以来60以上のチームが育ち、センター・オブ・イノベーションプログラム(COI)も獲得しています。先進研究拠点形成にむけて、本学の研究を牽引する中核研究者に、年間1000万円の研究環境整備費を含むテイラーメイド支援を行う、立命館先進研究アカデミー(RARA)を昨年立ち上げ、2年間で16人のフェローを選出しました。またリサーチライフサポート室及びD&I推進室の女性研究者支援により、6年間で女性研究者が105人増え、「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)」の事後評価において最高評価となるS評価を獲得しました。②の創発性人材とは、論文にとどまらず、研究を社会実装できる人材です。2019年に立命館・社会起業家支援プラットフォーム(RIMIX)を立ち上げ、起業支援を行うとともに、10億円のファンドを創設して起業支援と投資を行っています。RIMIX事務局を運営するのは学園の総合企画部、起業・事業化推進室であり、総合学園として小学校から起業を意識する人材に育ってほしいという明確なメッセージを持って「自由と清新」で社会に変革を与えるR2030が目指す「次世代研究大学」と「創発性人材」仲谷善雄氏力強い改革で「次世代研究大学」とD&Iの実現を目指す

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