5061数値目標の意義と学内・学外からの支持獲得の努力受講生・修了生のテストマーケティングの場の提供を目的に開催されている「サンデーJマルシェ」。毎回3〜4事業者が参加し、既に開催回数は100回を超える。につなげていく。大変です」と話すのは特任教授の韓 力氏。同じく特任講師の松田高政氏は「授業アンケートでも、『簡単すぎ』と『分からない』に回答がバラけます。でも、モチベーションの高さは共通。対面の時には、高知県西南端の町から車で片道3時間かけて通われていた方もいました。SNSのコミュニティーもいつもとても盛り上がっていますよ。もともとのやる気が高いうえに、ここでは同じ気持ちの人と出会えますから」(松田氏)。修了生のコミュニティー「土佐FBC倶楽部」も活況を呈する。ただの交流ではない。取引先の紹介やコラボレーションの実現のための実益の場になっている。また、修了生は自らの事業課題について教員に相談ができる。「無料で、コンサルが一生続くんですよ、すごいお得ですよね。相談件数は年々増えていて、内容も多岐にわたります。近年は商品企画の相談が多くなっていますね」(松田氏)。「対応は大変ですが、産業の促進は私達の一番の使命です。その想いがあるからやっているので」(松田氏)。「だから結構『御用聞き』しますね、何困ってますかって(笑)」(韓氏)。「そして関わったら売上を聞きます。経済効果の数字の算出は、そうやってヒアリングした一つひとつの商品の数字を積み上げていったものなんですよ」(松田氏)。土佐FBCでは毎年の経済効果について数値目標を掲げている。「人材育成は数字で表現しにくいですが、数値目標があることで、取り組むべきことが明確になります。先生方が躊躇なく相談対応に力を注ぐことができるのはその効果だと思います」(石塚氏)。プログラム名称高知大学 土佐フードビジネスクリエーター人材創出事業実施主体開講形態開講期間開講日時間学費定員募集対象URL(億円)252015104.84.41.6「そして、大学に対しても県に対しても、ボランティアではなくちゃんと価値のある事業だというのを説明していくうえで、数値は強力です。例えば県に対しても、『修了生による売上がこれだけあります、そこからの納税額を考えると、寄附講座の予算は効果的ですね』と、そんなふうに説明できるわけですから」(石塚氏)。石塚氏が学内・学外に対して事業の意義の説明の労を惜しまないのは、事業の継続とその今後を見据えてのことだろう。「今年から『学術指導コース』として共同研究や大学院への接続をコース化しました。研究開発人材を育成し、同時に、共同研究ができる企業、研究開発部署のある県内企業を一つでも増やしていきたいんです。海外への展開も具体的な検討をはじめています」(石塚氏)。売り場で見つけた修了生による商品の数々。そのパッケージはどれも、購買意欲がかきたてられるようしっかりとデザインされている。それは、学内外とのコミュニケーションをおろそかにしない土佐FBCの姿勢と同じもののように感じられた。(文/乾 喜一郎 リクルート進学総研主任研究員[社会人領域])高知大学次世代地域創造センターオンライン6月〜翌年1月平日夜間(週2日)ならびに一部土曜日本科コース:94時間、入門コース:25.5時間、部分受講コース:21時間、学術指導コース:不定本科コース:15万円、入門コース:5万円、部分受講コース:1科目あたり5万円、学術指導コース:相談のうえ決定本科コース:20名、入門コース:10名、部分受講コース:5名、学術指導コース:5名程度/年高知県の食品産業を担うリーダーを目指す社会人(学歴・職務経験・居住地に拘らず、修了に必要な時間数の講義参加が可能な人)https://tosa-fbc.jp13.810.06.85.119.718.618.0(年度)図表1 土佐FBC修了生による経済効果の年度別推移2008〜12201320142015201620172018201920202021
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