カレッジマネジメント237号
62/79

62SSH指定校の課題は、主に3つあった(図)。まず、研究の質向上だ。毎年20億円規模の国費が使われているSSH事業では、そのアカウンタビリティとして「全国・世界レベルの研究成果」が求められている。また、各校に特有の長期的視野で育む「看板研究」の育成も必要だ。しかし、指定を外れれば支援が打ち切られるため、高校単独では、なかなか長期的視野に立った研究醸成が難しい実情がある。次に、科学的資質能力の向上である。SSH校は各校の取り組みでどのような資質能力を醸成するのかを定義している。そのため、成長過程の継続的可視化が必要となるが、そのためには高校だけではなく、大学での学修成果や社会に出てからの活躍も見据える必要がある。継続的な定点観測において、連携は必須と言えるのだ。3つ目は、新課程の存在だ。高校全体で探究活動が展開されることになり、高校教員が探究の指導力やファシリテーション力を備える必要が生まれた。大学による専門性提供や研究伴走といった営みは、そうした高校教員のリカレントニーズにも対応するのである。こうした研究連携の動きに入試設計が重なっているのが本件の特徴だ。探究活動プログレス選抜と、探究活動アピール選抜の2種類である。まず、プログレス選抜だ。前述した接続事業を始めとし、入試広報部長山本朝昭 氏本号では前号に引き続き、高大接続・高大連携活動に焦点を当て、入試に至る改革を実現した2校をご紹介したい。崇城大学は2021年12月、熊本県内のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)5校(第二高校、熊本北高校、宇土高校、天草高校、鹿本高校)から成る熊本サイエンスコンソーシアム(KSC)と、高大連携に関する協定を締結した(2022年に大津高校、熊本西高校、東稜高校も加入)。KSCの生徒の研究テーマに応じて、崇城大学の5学部の教員が担当として指導を行い、大学の設備等も使いながら自らの研究を深めていく過程を支援するものだ。同年には探究活動を支援する2種類の入試も導入した。こうした一連の趣旨について、入試広報部の山本朝昭部長にお話を伺った。山本氏は2020年度まで第二高校の校長で、2021年度から崇城大学に赴任し、本事業の推進を図った人物である。「元々、崇城大学は県内SSH校の全てに運営指導委員を派遣する等、高校への支援に熱心でしたので、SSH校が連携しコンソーシアムを立ち上げることで大学からの支援がさらに充実すると考えていました」と山本氏は説明する。SSHは国際的な科学技術人材の育成を目的に2002年にスタートした支援事業だが、後に挙げるような課題を抱えていた。そこで、高大7年かけてシームレスな学生の成長を支援する仕組みとして発足したのが、今回の連携事業なのである。山本氏は、「1つの大学が1つの高校とだけ協定を結んでも持続性に欠けますが、5校のコンソーシアムと連携することで、大学への入学生も多くなり、実証する数字も大きくなるので、スケールメリットがある」と補足する。入試は社会へのメッセージ#7事例report 崇城大学 「SSH指定校との高大連携」高校側のSSHコンソーシアムに対する探究支援高校側の課題を大学側のリソースで解消し、さらなる発展を目指した接続事業探究支援に入試を重ねて継続的な人材育成を実質化理数教育の充実と人材育成を高大連携のスキームで実現

元のページ  ../index.html#62

このブックを見る